研究課題/領域番号 |
15K16217
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研究機関 | 人間総合科学大学 |
研究代表者 |
平子 哲史 人間総合科学大学, 人間科学部, 助教 (90644261)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ガラニン様ペプチド / 脂質代謝 / 肥満 / 胆汁酸 |
研究実績の概要 |
ガラニン様ペプチド(GALP)は、視床下部弓状核ニューロンで産生される神経ペプチドであり、その発現はレプチンの作用を受けるとともに視床下部内で複数の摂食調節ニューロンと神経相関を行なうことが明らかになっている。昨年度までに、GALPの生理作用は摂食調節のみではなく、交感神経系を介して末梢でのエネルギー代謝を制御していることを明らかにしてきた。本年度では、肝臓での脂肪酸・コレステロール代謝に着目して実験を行った。脳室内投与後およそ1時間後から呼吸商がGALP群でVehicle群と比較し有意に減少した。肝臓脂質メタボローム解析の結果からGALP投与により、アシルカルニチン量が減少し、多くの胆汁酸量が減少した。肝臓中の脂肪酸酸化に関与する遺伝子発現はVehicle群と比較しGALP群で有意に増加した。また、胆汁酸合成の律速酵素であるCYP7A1発現が減少し、胆汁酸排泄に関わるBSEP発現は増加した。それは、GALPが脂肪酸だけではなくコレステロールなど脂質代謝全般に幅広く関与することを示唆する研究成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を進めている過程で、GALPの新たな生理作用として、コレステロール・胆汁酸代謝に関わる事が示唆されたため、当初の計画を変更し、脂質代謝全般に対するGALPの生理作用を検討する事を優先し、また、これまでの研究成果の論文作成することにしたことからやや当初の研究計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度新たに明らかにされた、コレステロール・胆汁酸代謝におけるGALPの働きを解明するとともに、当初の目的である肝臓-脂肪組織、中枢と肝臓および脂肪組織間の代謝制御におけるGALPの役割を解明する。また、本年度は最終年度であることから得られた結果は、国内外で積極的に学会発表や論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定を変更し、GALPの新たな生理作用であるコレステロール・胆汁酸代謝に関する実験を行った。そのため、臓器間ネットワークに関する実験が出来ず、その分使用額が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の目的である肝臓-脂肪組織、中枢と肝臓および脂肪組織間の代謝制御におけるGALPの役割を解明するため、モデルマウスの購入や試薬を購入する。また、本年度は最終年度であることから得られた結果を、国内外で積極的に学会発表や論文作成を行うため、旅費や英文校正費および投稿費などに使用する。
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