研究課題/領域番号 |
15K16219
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
煙山 紀子 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (50747350)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 脂肪肝 / 転写因子 / 炎症 |
研究実績の概要 |
SREBP-1の有無によるNASH病態の評価をするため、高ショ糖・高脂肪・高コレステロールを含んだ食餌(動脈硬化誘発高脂肪食Atherogenic high fat: AHF)を餌で供与し、野生型とSREBP-1欠損マウスの表現型を比較した。AHF4週間供与における個体としての表現型としては、エネルギー代謝の観点より、体重、組織重量、体脂肪量、血糖値、インスリン値、血中脂質、臓器脂質含量などエネルギー代謝の従来の解析法により明らかにした。また、これらのマウスに対し、肝臓における組織障害の程度を、炎症、酸化ストレス、線維化の観点より血中ALT値測定、形態学的観察(マクロ、HE染色、特殊染色、免疫染色)、遺伝子発現、タンパク定量を行った。 結果として、野生型と比較して、SREBP-1欠損マウスは、肝中TG蓄積は部分的に低下し、一方肝中コレステロールは野生型と同程度に蓄積が認められた。血中ALTレベルは野生型と同程度であったが、HE組織学的所見とマクロファージ免疫染色の結果より、SREBP-1欠損マウスは肝臓の炎症細胞浸潤が抑制されていることが確認された。遺伝子発現解析においても、炎症に関わる遺伝子群の低下が認められた。以上より、SREBP-1欠損マウスにおける炎症の抑制の要因の追及を2年目以降の課題とすることとなり、実験は予定通り進行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度で予定していた、野生型マウスおよびSREBP-1マウスにおける食餌誘発性の非アルコール性脂肪性肝炎のフェノタイプの解析(体重、組織重量、体脂肪量、血糖値、血中ホルモン・生理活性物質濃度、血中脂質、臓器脂質含量、血中ALT値測定、形態学的観察(マクロ、HE染色、特殊染色、免疫染色)、遺伝子発現、タンパク定量が概ね終了したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、平成27年度で出したマウスのフェノタイプの要因を追及する。まず、マウスの肝臓または血液サンプルを使用して、脂質プロファイル解析、遺伝子プロファイルの網羅的解析を行い、マウス間で変動が最も強く反映されているパスウェイを特定する。また、網羅的解析で得られた情報をもとに、表現型を説明する既知グループを整理し、また、新たにターゲットとなり得る因子の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費と人件費・謝金が当初の使用計画と比較して減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き消耗品を中心に、研究経費の主たる部分は モデル動物の作製、維持、各実験に用いる分子生物学的、細胞培養実験の消耗品に利用する予定である。
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