研究課題/領域番号 |
15K16225
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
藤井 俊輔 (藤井俊輔) 長崎国際大学, 公私立大学の部局等, 助教 (10610165)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 甘草エキス / 甘草の機能性 / モノクローナル抗体 / 3T3-L1 |
研究実績の概要 |
本研究は、甘草に含まれる機能性フラボノイドが前駆脂肪細胞3T3-L1細胞に及ぼす抗肥満作用(中性脂肪蓄積抑制作用)の作用機序を、天然化合物特異的モノクローナル抗体を用いて解明することを目的としている。本年度の研究実施計画では、①甘草主要フラボノイドリクイリチンで処理した3T3-L1細胞の分化初期および、分化後期における分化マーカーの変動を指標とした中性脂肪蓄積抑制作用の解析【平成27年度】および、②リクイリチンに対する特異的モノクローナル抗体を用いた、競合的ELISA法による3T3-L1細胞へのリクイリチンの取り込み量の解析、細胞内挙動解析【平成27、28年度】を行うこととなっていた。 項目①に関しては、3T3-L1細胞の安定した培養法の確立に多くの時間を要してしまったため、詳細な分化マーカーの解析にまで至ることができなかったが、リクイリチンに対する特異的モノクローナル抗体を用いた、配糖体等の低分子化合物の免疫染色手法であるイースタンブロティングの確立に成功した。さらに、我々は、甘草の主要成分であるグリチルリチンに対する特異的モノクローナル抗体も有しているため、グリチルリチンとリクイリチンに対するモノクローナル抗体をそれぞれ用いる事で、両成分を特異的にかつ、視覚的に検出が可能なダブルイースタンブロティングの開発に成功した。イースタンブロティングおよび、ダブルイースタンブロティングを確立したことは、今後の機能性解析において強力な解析ツールとなり得ることを示しており、今後の研究遂行にあたって、重要な研究成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究実施計画としていた、3T3-L1細胞の中性脂肪蓄積抑制作用の各種分化マーカーを用いた解析に関しては、3T3-L1細胞の安定した培養条件検討のため、詳細な検討にまでは至ることができなかったが、リクイリチンに対する特異的モノクローナル抗体を用いた免疫染色手法である、イースタンブロティングおよび、ダブルイースタンブロティングの開発に成功したことは、今後の研究遂行において重要な成果であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究遂行計画としては、平成27年度に確立した培養条件を用いて、3T3-L1細胞の分化、中性脂肪蓄積抑制作用に関して、より詳細な解析を実施していく予定である。また、リクイリチンに対する特異的モノクローナル抗体を用いた競合的ELISAを用いて、リクイリチンの経時的な取り込み等についても解析を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
脂肪蓄積抑制作用解析のためのキットや試薬類の購入を考えていたが、培養条件の決定に多くの時間を要してしまったため、予定していた試薬類の購入に至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度以降は、平成27年度実施計画の分も含め研究を遂行していくため、平成27年度の研究計画で使用予定であった試薬、キット等の購入を行う予定である。
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