研究課題/領域番号 |
15K16236
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
鍛島 尚美 広島修道大学, 健康科学部, 准教授 (20433394)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 消化管血流 / 食事誘発性熱産生 / 甘味 / ラクチゾール |
研究実績の概要 |
2018年度は,食物摂取直後の感覚(味覚)刺激が食事誘発性熱産生(DIT)を増大させる機序の解明に取り組んだ。8名の被験者は,合計3条件の実験プロトコールにランダムな順序で参加した。被験者は5分間の座位安静後,基準食200kcal(明治メイバランスミニ)を1分間かけて摂取し,90分間の安静を保った。被験者は,基準食摂取後2.5分目から5分毎に合計12回,15%グルコース溶液(G),15%グルコース溶液にラクチゾール(甘味受容体抑制物質)を混合した溶液(GL),水(W)のいずれか20gを口に含んで30秒間リンシングし,口腔内を刺激した。各リンシング溶液および唾液の嚥下は禁止した。リンシング終了直後に甘味強度を測定した。基準食摂取前および摂取後5分毎に腹腔動脈血流(CABF),上腸間膜動脈血流(SMABF),血糖値,満足感,満腹感,空腹感および摂取可能感を測定した。甘味強度はG条件が他の2条件に比べて有意に高く,GL条件とW条件には違いがなかった。CABFおよびSMABFは,ともにG条件がW条件に比べて有意に高く,G条件とGL条件には違いはなかった。血糖値,満足感,満腹感,空腹感および摂取可能感は3条件間で違いがなかった。口腔内のグルコース溶液による消化管血流の増大は,甘味受容体を抑制した場合でも維持されたことから,この血流増大は,甘味受容体を介さない異なる経路で生じる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年は,出産と所属機関の変更により,研究時間の確保および研究環境の整備が困難であり,予定していた研究が実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
産休の取得に伴い,2018年5月に1年間の補助事業期間延長を申請し,2020年3月までの延長が承認された。2019年度は,研究環境を整備し,昨年度遂行できなかった実験を完了させ,論文執筆を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,産休の取得に伴い補助事業期間を1年間延長したためである。今年度,被験者への謝金,消耗品の購入,論文の校正費ならび投稿費に使用する予定である。
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