研究実績の概要 |
今年度は,前年度に完了した食事中に感じる甘味の強さがその後の間食(甘味を呈する食品)の摂取量および甘味に対する欲求に及ぼす影響の結果について,データ解析,学会発表を行った。論文は現在執筆中である。研究内容・結果は次の通りである。健康な男女15名は,ほうじ茶(Control),甘味受容体活性を抑制するギムネマシルベスタ(GS)溶液(濃度2.5 %)のいずれか25 mLを口に含み30秒間リンシングした。その30秒後に,水で口腔内に残存した溶液や唾液を30秒かけて洗い流した。続いて,朝食として基準食のマフィン1個を120秒かけて摂食し,安静にした。被験者はこの手順を繰り返し,マフィンと砂糖を添加したヨーグルトをそれぞれ2回に分けて摂取した。口腔内刺激1回分の基準食を摂取する毎に,視覚的評価スケールを用いて主観的な味覚強度(甘味,酸味,塩味)及び嗜好度(好き嫌いの程度),空腹感,満腹感,摂食可能感,食事に対する満足感,甘味,塩味,酸味に対する欲求を評価した。朝食摂取90分後,被験者は間食としてチョコレートを食べたいだけ摂食した。朝食摂取時の甘味強度は,GS条件がControl条件に比べて有意に低く(P=0.001),その他の味覚強度は条件間で差がなかった。甘味に対する欲求は,間食摂取前においてGS 条件がControl条件に比べて有意に高かった(P=0.002)。空腹感,満腹感,摂食可能感,食事に対する満足感は,条件間に違いがなかった。チョコレートの摂食量は,GS条件がControl条件に比べて有意に多かった(P=0.007)。食事中の口腔内甘味抑制は,その後の間食における甘味を呈する食品の摂食量を増大させた。この摂取量の増加は,基準食摂取後から間食摂取前まで引き続く甘味欲求の低下抑制が関与している可能性がある。
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