研究課題/領域番号 |
15K16237
|
研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
沼田 聡 高知県立大学, その他部局等, 助教 (10565857)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 超高感度酵素免疫測定法 / 卵白アレルゲン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、卵白アレルゲンに対する抗体を作成し、この抗体を用いて卵白アレルゲンに対する迅速な超高感度酵素免疫測定法(Immuno complex transfer immunoassay; ICT-EIA法)を開発することである。平成27年度は、ICT-EIA法の開発において重要となる抗体を作成し、ICT-EIA法の開発を行う計画であった。還元カルボキシメチル(RCM)化させたオボアルブミン(OVA)を作成し、ウサギに免疫して血清を得た。得られた血清に対して塩析や陰イオン交換セルロースにより精製を行い、IgGを得た。得られたIgGがOVAと反応するかを確認するために、この段階で抗RCM化OVA Fab - ペルオキシダーゼ(POD)及び抗RCM化OVA IgG – DNP - Bioの2種類のコンジュゲートを作成した。そして、Immunoenzymometric assay(IEMA法)でOVAを測定したところ、33.3 fmol/ml(1.5 ng/ml)まで検出することができた。次いで、得られたIgGからRCM化OVAに反応するRCM化OVA IgGのみを精製するために、アフィニティー精製を行う必要があった。しかし、アフィニティー精製に必要なRCM化OVA-セファロースの作成時にRCM化OVAが不溶化(凝集)してしまった。不溶化の原因について、各条件(pHや緩衝液の変更等)で確認を行った結果、物理的要因(攪拌)による影響であることが考えられた。今後は、RCM化OVAの不溶化を防ぐために、凝集防止剤を使用する等してRCM化OVA - セファロースの作成を行い、RCM化OVA IgGを精製する。そして、RCM化OVA Fab-酵素及びRCM化OVA Fab - DNP-Bioのコンジュゲート作成を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度は、RCM化卵白アレルゲンに対するポリクローナル抗体を作成し、この抗体を用いた超高感度酵素免疫測定法を開発することを目的としていた。しかし、RCM化OVA抗体については、アフィニティー精製時に必要なRCM化OVA-セファロースを作成する段階で、タンパク質が不溶化(凝集)してしまい、CBNr-活性化セファロースにRCM化OVAを結合させることができていないため、現段階ではアフィニティー精製を行うことができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
RCM化OVA-セファロースの作成については、RCM化OVAの不溶化は攪拌による物理的な影響により、不溶化(凝集)することが判明している。RCM化OVAをCBNr-活性化セファロースに結合させるため、攪拌は必須の工程である。このことから、以下の改善策にて、RCM化OVA をCBNr-活性化セファロースに結合させる予定である。(1)攪拌によりRCM化OVAが凝集することを防ぐために、凝集防止剤を添加する。事前にRCM化OVA 溶液へ凝集防止剤を添加した後に、CBNr-活性化セファロースと混合する。現在のところ、凝集防止剤には非界面活性剤型スルホベタイン(NDSB)の使用を検討している。(2)RCM化OVAをペプシンまたはトリプシン処理して断片化(ポリペプチド)させた後、CBNr-活性セファロースと結合させる。 また、RCM化していないOVA抗体を用いたICT-EIA法を開発している。そのため、しばらくはこのICT-EIA法を用いて、平成28年度に行う測定法の高速化(磁気ビーズの条件検討等)に向けての基礎的検討を行なっていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れている傾向にあるため、予定していた消耗品類の購入も遅れている。また、学内での研究費を一部使用したため、未使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
28年度では、現在生じている課題を解決したのち、速やかに未使用額からICT-EIA法の開発で必要な試薬や消耗品器具を購入する予定である。
|