研究課題/領域番号 |
15K16239
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
逆井 亜紀子 (坂井亜紀子) 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教 (60570059)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 非アルコール性脂肪肝炎 / AGEs / Toxic-AGEs (TAGE) |
研究実績の概要 |
メタボリックシンドロームに伴う高血糖や、食事由来の終末糖化産物(AGEs)過剰摂取などにより、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む生活習慣病が増加している。生命に関わる深刻な病気への進行を防ぐためにも生活習慣病の早期発見と改善が不可欠であるが、発症を診断できるバイオマーカーは確立されていない。そこで本研究では生活習慣病との関連を見いだしつつあるToxic AGEs蛋白質 (TAGE) 群の中から、特にNASHの早期診断に有効な新規疾患マーカーを同定し、有用性を確認している。 平成27年度は、すでに研究代表者が絞り込みを行っているTAGE疾患マーカーの候補蛋白質についての追試実験を行った。ヒト肝がん細胞HepG2細胞を用い、TAGE前駆体のグリセルアルデヒド処理を行った結果、疾患マーカー候補蛋白質の異常高分子化及び活性異常を観察した。さらに、正常細胞に近いヒト初代培養肝細胞を用いた場合にも同様の現象を観察し、がん細胞由来のHepG2細胞を用いた実験結果が生体を反映していることも確認した。 また、疾患との相関関係が見られるのは生体内で生成されるTAGE化蛋白質である事から、疾患マーカー候補蛋白質がTAGE化されているのかについての解析を行った。TAGE前駆体のほかにAGEs形成阻害剤を併用した結果、疾患マーカー候補蛋白質の異常高分子化が観察されなくなった。現在、TAGE前駆体処理をしたHepG2細胞から免疫沈降法により疾患マーカー候補蛋白質を精製し、異常高分子化した疾患マーカー候補蛋白質がTAGE特異抗体と抗原抗体反応を示すのかについての解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫沈降法による疾患マーカー候補蛋白質の精製に関して、HepG2細胞へのTAGE前駆体処理によって異常高分子化される候補蛋白質の割合が低いことから収量が得られないため精製が難しく、解析に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、平成27年度の結果をふまえ、生活習慣病の発症や進展と相関するTAGE化蛋白質の特定と細胞毒性の関連性について解明を続ける。また、疾患マーカー候補蛋白質がTAGE化されているのかについては現在行っている免疫沈降法によるアプローチ以外に、精製標品をTAGE化させた解析も並行しておこなっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に疾患マーカー候補蛋白質の精製を行いTAGE化を確認する予定であったが、異常高分子化したタンパク質の精製が難しいことが明らかとなり、解析に時間を要している。そのため、研究の進捗がやや遅れ、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
疾患マーカー候補蛋白質がTAGE化されているのかについては現在行っている免疫沈降法によるアプローチ以外に、精製標品をTAGE化させた解析も並行しておこなうこととし、未使用額はその実験の物品費に充てることとしたい。
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