メタボリックシンドロームに伴う高血糖や、食事由来の終末糖化産物(AGEs)過剰摂取などにより、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む生活習慣病が増加している。生命に関わる深刻な病気への進行を防ぐためにも生活習慣病の早期発見と改善が不可欠であるが、発症を診断できるバイオマーカーは確立されていない。そこで本研究では生活習慣病との関連を見いだしつつあるToxic AGEsタンパク質 (TAGE) 群の中から、特にNASHの早期診断に有効な新規疾患マーカータンパク質を同定し、有用性を確認することを目的としている。 平成29年度は、肝実質細胞内でTAGE化される事を明らかにしたタンパク質について、NASH発症モデルマウスとの関連性を解析した。すでに申請者は肝実質細胞においてTAGE化マーカータンパク質がアポトーシスに必要な酵素機能を喪失している事を明らかにしている。この結果が動物モデルにも反映されるかを検証した結果、健常マウスの肝臓と比較して、脂肪肝、NASH、肝線維化と病態が進行するに従いTAGE化マーカーとして同定したタンパク質の酵素活性が減少する傾向が観察された。これらの事から、同定したTAGE化マーカータンパク質がNASHにおける新規疾患マーカーとして有用である可能性が示唆された。
|