研究課題/領域番号 |
15K16243
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏昭 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (90581843)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 科学論的内容 / 教員養成 / Nature of Science |
研究実績の概要 |
近年の国際学力調査の結果から、日本の生徒は科学的知識などの理解度については高い数値を示しているが科学論に関する学習内容というべき科学論的内容、つまりは"Nature of Science"の内容についての理解が不十分であると指摘されている。こうした問題状況に対して、欧米の国々の多くは,実際に,"Nature of Science"の内容を学習内容の一部として導入した理科カリキュラムが開発されている国際的動向に鑑みると、日本も同様,理科カリキュラムに"Natur e of Science"の内容を導入して、日本の児童・生徒に教授することが有効であると考えられる。 そこで本研究の目的は,今後、日本の理科教員養成課程においても"Nature of Science"の内容を導入し、理科教員養成システム全体を再検討することである。その上で、日本において"Nature of Science"の内容に関する教員養成プログラムを開発し、その有効性を実証的に解明することである。 特に平成29年度は、平成28年度までに得た知見に基づき研究を進めた。第一に、教員養成課程に学生を対象に科学論的内容と関連する理科の観察や実験の探究スキルに関する質問紙調査を実施した。第二に、平成29年度から継続的に調査している"Nature of Science"に関する教材を分析した。これまでに得た教材の内容構成の知見をもとに日本と欧米の理科教材を比較するため、日本におけるICTに関する具体的な教材であるデジタル教科書の分析を行った。また、"Nature of Science"の単元の中で取り扱われていた観察や実験の安全指導に関する知見に基づき、日本の理科教員に対する安全指導のインタビュー調査をして、それらの特質をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は、教員養成段階において理解すべき科学論的内容の水準を確定するため、平成28年度に引き続き、教員養成課程に学生を対象に質問紙調査およびインタビュー調査の再調査(確定調査)を実施した。この原因は、本研究の調査対象となった大学学部が平成29年度より改組したためであり、本研究を今後進める上でその点に留意したためである。当初の研究計画では、平成29年度中に学習プログラムの開発を終える予定であったが、学習プログラムで取り扱う学習内容の確定が遅れたため、研究計画の遂行がやや遅れた。今後は、学習プログラムの開発を平成30年7月までに終え、10月から実施・評価に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度まで進めてきた文献調査をさらに進めるとともに、日本の理科教員養成課程における科学論的内容に関する学習プログラムの開発・実施・評価に取り組む予定である。具体的には、日本の教育事情(教員養成制度等)に応じた学習プログラム(教材開発を含む)の開発する。また、学習プログラムの評価については、教員養成学生の科学論的内容に関する知識の理解だけでなく、これまでの研究によって関連が明らかになった、理科における観察や実験に関する探究スキルや安全指導に関する知識や技能の理解や習得についても評価する予定である。本研究は、教員養成に関する取り組みであるため、これまでと同様に他大学の教員養成学部に関する教員、本研究に関する有識者(大髙泉氏および片平克弘氏)等を相談しながら研究を進めていきたい。
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