研究実績の概要 |
本研究は高等学校における理数の探究活動の実施状況および教員による指導状況を調査し,高校生の科学探究能力との関係を明らかにして,教育効果の高い指導法の開発と普及を目的としている。 (1)平成26~30年度の全国約200校のスーパーサイエンスハイスクール(以下SSH)の研究開発実施報告書とSSH生徒研究発表会の要旨集等の研究報告書,高等学校の探究活動の指導現場の視察,指導教員へのインタビュー調査を実施した。課題研究等の探究活動の実施状況は,実施時期や方法について共通性は見られるものの,各校独自の指導方法で行われており,指導体制や評価方法,成果,課題の多様性が明らかとなった。 (2)高校生の科学探究能力を定量的に評価する「探究能力調査」を開発し,平成28年度に調査を開始した。30年度までに高等学校15校,14,500名を超える規模で実施し,回答を分析した。科学探究能力を6カテゴリーに分類した解析において,各カテゴリーの能力間に正の相関があることを明らかにした。追跡調査の可能な学校の多くで,1年ほどの探究活動の経験によって,高校生の科学探究能力が向上していることを明らかにした。学習意欲と科学探究能力に相関がないこと,探究方法の系統的な講義が科学探究能力向上に有効であること,を明らかにした。 (3)探究能力調査の結果と指導法の関係から,探求能力向上に効果のある指導法の要素を抽出し,高等学校にフィードバックした。高等学校で全教員対象のワークショップを開催した。大学初年次生対象の物理学授業で指導法を検証し,初等中等教育の教員にも紹介した。ミャンマーとカンボジアの教員対象ワークショップを開催し,指導法を普及させた。
|