平成28年度は当初の予定通り,3Dゲームエンジン・統合開発環境Unityを用いて,昨年度までに実装が完了しなかったテーマにおいて物理学学習3Dゲームの実装を行った。さらに,昨年度実装を完了したゲームを用いた模擬授業を実施した結果得られたアンケート結果を分析し,実装済みのゲームについても改良した。また,開発したゲームを学生が実際に学習する際,進捗状況をスコアとして記録するためのサーバシステムを学内に設置し,実際に稼働することを確認した。 また学習効果を測る実験として,高専2年生34名に対して模擬授業を実施した。模擬授業は学生を「プリント教材で学習するグループ」,「3Dゲームで学習するグループ」「プリント教材で学習した後,さらに3Dゲームで学習するグループ」の3つに分けて実施した。各学習は問題が解けるまで(もしくはあきらめるまで)とし,時間は無制限とした。学習終了後は各教材に関するアンケートを実施し,学習前後に各学習項目の理解度をルーブリクスによって評価した。その結果75%の学生が「3Dゲームでの学習を楽しんだ」と答えた(プリント教材は22.2%)。また60.8%の学生が「今後もゲーム教材で学習したい」と答えた(プリント教材は22.2%)。ルーブリクスによる学習効果の評価では,プリント教材とゲーム教材に関しては,学習前後の理解度の平均値や中央値の伸びがほぼ同じで,両教材の学習効果は同程度であることを示している。一方で,プリント教材での学習後に3Dゲームで学習したグループは学習効果が他のグループに比べて明らかに高い結果となった。今回の実験では,模擬授業の時間を特に設定していないため,プリントとゲーム両方で学習したグループが,他のグループの2倍の時間学習したとは限らないため,新旧両方の教材を上手く組み合わせながら学習することが,学習に大きな効果をもたらすことを示唆する結果が得られた。
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