研究課題/領域番号 |
15K16257
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
坂本 良太 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10581879)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モーションキャプチャ / スポーツバイオメカニクス / 健康・福祉工学 |
研究実績の概要 |
(1)簡易モーションキャプチャによる投球動作抽出システムの開発 野球の投球動作についてパフォーマンス改善,障害予防を目的とし,ビデオで投球フォームを撮影してフットプラント,トップポジションといった瞬間を選手に示して指導を行うことがある.この際該当のシーンの頭出し操作等を手動で行うことは手間がかかる.これを自動化するシステムを開発した.今回モーションキャプチャ装置として Microsoft社Kinectを利用した.装置の限界を考えると一見投球のような高速な動作は難しいと思われるものであるが,他の装置での計測も踏まえ,スポーツ医および理学療法士の知見を基に対象となる姿勢を定義することで,実地で実用可能な構成を実現できた.この成果はスポーツ工学・ヒューマンダイナミクス2015にて発表した. (2)慣性センサによる投球数カウントシステムの開発 野球において投球過多は障害の要因であり,万歩計のように自動的に投球数を計測する装置が望まれている.その実現に向け高校野球部の練習時に慣性センサを継続して装着し,加速度,角速度等のデータ収集を行った.得たデータの範囲において投球かそうでないかを判別できることは確認し,投球数計測ができることを見出した.一方で実用化にはさらに多くのデータを収集する必要がある. (3)種々のデータ収集 スポーツ分野以外に,リハビリテーションや医師の手技といった動作に対して全身モーションキャプチャ装置を用いてデータ収集を行った.投球を対象とした研究成果を応用しこれらの解析や利用を今後行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野球の投球動作において,ビデオ撮影の代替となりうる簡易モーションキャプチャによる投球動作抽出システムは予定していた5種類(フットプラント,膝最大挙上,早期コッキング,後期コッキング,ボールリリース)のシーン抽出が可能となり,実用化に大きく近づいた. 別の観点での慣性センサによる投球数カウントも,少なくとも現時点で得られたデータに対する手法としてはある程度の成果が出た.しかしデータ数がまだ少ないこともあり,多くのデータに応用できるか検証の必要がある. 一方,野球以外の動作として,当初の予定ではあまり想定はしていなかった医師の手技について動作解析を行えるよう協力者を得られることとなった.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は主に医師の手技についてデータ収集と解析を進める予定である.目標としては手技の良し悪しを判別するものであるが,現時点では「良い動作」「悪い動作」が明確になっていない手技を対象としている.そのような単純には識別できない条件において,機械学習の手法も取り入れつつ,動作解析が行えることが示せれば研究として有用であると考えている. また動作解析と並行し,良い動作の伝達・指導法も検証する.当年度はヘッドマウントディスプレイ等で視覚情報を中心に指導を行うことを考えている.何が良い動作の要因となっているかと,それをどのように伝えるかは強く結びついているため並行しての研究が重要となる. 一方で平成27年度の成果についてブラッシュアップを行い,実用を想定した実験とその結果の発表を行う.
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