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2017 年度 実施状況報告書

運動教示のためのリアルタイム身体動作符号化

研究課題

研究課題/領域番号 15K16257
研究機関三重大学

研究代表者

坂本 良太  三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10581879)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードモーションキャプチャ / バイオメカニクス / 健康・福祉工学
研究実績の概要

(1)医師の気管挿管手技といった、細かな動きが多く一見特徴づけが困難と思われるような巧拙を判別する研究に着手した。これまでの研究において野球の投球動作抽出システムでは瞬間瞬間の姿勢に基づく動作判別を行った一方、投球数計測装置では慣性センサにより加速度、角速度に基づく解析も行っている。医療上の手技では細かな手の動きが重要であるため、加速度、角速度に基づく解析が有望と考えられるが、一方で熟練者か否かや、医師の動作の類型は体幹など姿勢に現れるといった言葉も医師から聞かれる面もある。いずれにしても大きく振りかぶる投球動作や、「歩く」「走る」「座る」といった日常動作の識別に比べ、手技の動作は小さく、解析は困難であることが予想される。そこで近年応用が広がっている深層学習を用いることを検討している。まず熟練者、初学者それぞれにあたる医師の模擬気管挿管手技についてモーションキャプチャを行ってデータを得たのち、Deep Neural Networkを用いた教師あり学習により、熟練者か初学者かの判別が可能であることを示した。この内容は日本機械学会 情報・知能・精密機器部門講演会 IIP2018 にて発表した。
(2)エンターテインメント分野でも、本研究の目的とする「身体動作をリアルタイムで効率的に遠隔配信するための符号化」が有効と考える。その検証および応用例として、利用者のカメラ映像上にリアルタイムでCGのキャラクターが重畳されるシステムを開発した。本内容は瀬戸蔵ロボット博2018等で公開した。利用者の年齢や体格は様々であったが、腕や脚等の自動調整を行うことで自然に見えるよう設計した。こうした異なる体格への対応は動作を教えるというe-Learning目的においても非常に重要であると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

麻酔科医の協力のもと、気管挿管手技の巧拙を判別する研究に着手した。熟練度合いがどのように動作に現れるかを調査するため、熟練者として日本麻酔科学会専門医以上の医師、初学者として初期研修医、計約30名に練習用マネキンに対する気管挿管手技を依頼し、その際の全身モーションキャプチャを行いデータを取得できた。このデータをもとに、機械学習による熟練度を評価することや、気管挿管手技とそれ以外の区別をすることを試みている。
熟練度の判別にあたり、まずは熟練者か初学者かの2通りを判別することを試み、機械学習の手法として一般的なSupport Vector Machineでおよそ判別は可能という結果は得られた。一方、Deep Neural Networkを用いた判別も試み、SVMよりも有望そうな結果は出ているが、どういった動作の特徴をもって判別されているかが分かりにくい面があるためさらなる検証が必要である。また他に、手技における手順を深層学習の応用で解析し、異なる医師間を録画したデータでもこのタイミングは同じ段階である、といった識別が可能であるか調査している。

今後の研究の推進方策

データは必要な程度収集できたため、さらなる解析を進める。熟練者と初学者という2種の判別は可能となったため、次は熟練度の定量化を図る。初期研修医に関しては研修開始時と、一定期間経過後についてデータを得られるためその比較を行うことを考えている。
また、SVMやDNNではどういった特徴をもとに判別されているかの解析も進めることで手技において熟練度が特徴的に現れるものが何であるかを示したい。

次年度使用額が生じた理由

海外製カメラ装置の発注をしたところ、発送が大幅に遅くなり2018年度となったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 深層学習による麻酔科医の気管挿管手技熟練度判定2018

    • 著者名/発表者名
      森井秀幸,坂本良太,野村由司彦,平林和也
    • 学会等名
      IIP2018

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公開日: 2018-12-17  

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