研究課題/領域番号 |
15K16258
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥林 泰一郎 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (60580941)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 遠隔教育・学習 / クラウド / 360度カメラ / モバイルラーニング / Mobile Cloud Learning |
研究実績の概要 |
研究では、クラウド型テレビ会議プラットフォームを利用し、多くの参加者がテレビ会議やタブレット端末からでも参加可能なシステムを開発した。本科研では、毎月11日に岩手県大阪大学野田村サテライトや野田村リメンバーホープヴィレッジと大阪大学間で遠隔セミナーを実施している。
実運用を通して、Webカメラの視野角の課題が抽出された。つまり、一般的なWebカメラの視野角(60度から90度)では、カメラに映る範囲は限定的で左右に振らない限り、範囲外の様子は分からないが、Webカメラを広視野角化し人間の視界に近い形で撮影することの意義が見いだされた。そこで従来型Webカメラと次世代型HDパノラマカメラ、全方位360度カメラで比較検証を行い、それぞれの特徴を確認した。 遠隔セミナーの様子を全方位撮影可能な360度カメラでライブ配信し,遠隔地からの参加者が,360度ライブ映像を自身の興味関心に応じて見る方向を選択できることについて,質問紙調査にて評価した.その結果,参加者は,カメラが向けられた先の映像だけでなく,発言者や参加者の様子,会場の雰囲気など,興味関心に応じて視点を変え,自由に見たい願望があることが確認された. また、遠隔学習・教育におけるコミュニケーションの特性を明らかにするために、遠隔視覚対話システムの一つである「超鏡」を用いて、通常の対面授業と「超鏡」下(正像・鏡像)でのコミュニケーションの比較検証実験を行い、それぞれの特性を掴むことができた。 くわえて、クラウドコンピューティングや全方位360度カメラ、遠隔教育・学習に関連する学会における動向調査を行い、次年度への準備につなげた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度から引き続き、クラウド型テレビ会議プラットフォームの機能やカメラ(パノラマカメラや360度カメラ等)を検証しながら、遠隔学習環境の構築をおこなっている。クラウド型テレビ会議プラットフォームは、機能のアップデートが随時行われており、その検証を行っている。遠隔学習実践は、毎月実施し、その実運用を通して分かった課題を随時解決し、利用者にとって使いやすいシステムを構築する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
本科研費プロジェクトでは、初年度より大学とサテライトやフィールドワーク間で高精細映像を用いたクラウド型遠隔学習・セミナーを前倒しして実施し、実運用を通してシステムの機能や課題を検証している。最終年度も引き続き、クラウド型テレビ会議プラットフォームの機能を検証しながら、遠隔学習環境の構築を行う予定である。遠隔学習実践は毎月実施し、その実運用を通して分かった課題(例えば、楽器の生演奏と話し声の伝送【エコーキャンセル機能の取り扱い】や、広視野角カメラの特性把握とその利用)を検証しているものの、セミナー内容に応じてシステムの使いやすさ等をさらに追求する必要がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費交通費としての支出がなかったため、次年度に繰り越す。 本研究では、大阪大学と岩手県大阪大学野田村サテライトやフィールドワーク等との間で毎月遠隔セミナーを行っている。フィールドワークにはインターネット環境がない、楽器の生演奏と話し声の適切な伝送等、遠隔学習内容に応じて現地でのサポートが必要な場合がある。その費用として確保していた。
|
次年度使用額の使用計画 |
現地サポートが必要な回数を確認し、旅費交通費として使用する。
|