研究課題/領域番号 |
15K16273
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
小林 学 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (60447555)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リチャード・トレビシック / ロバート・スチーブンソン |
研究実績の概要 |
平成27年度は、これまでに収集した膨大な資料を有効かつ速やかに活用できる状態にするため、アルバイトを雇用して、その整理作業にあたらせた。 資料および実地調査のため渡英し、イギリス土木技術者協会、マンチェスター科学産業博物館、ケンブリッジ大学図書館、コーンウォール・TruroにあるRoyal Institution of CornwallやCornwall Record Officeの図書館・アーカイブを訪問するとともにイギリス製鉄業のかつての中心地の一つであるコールブルックデールを訪問した。 具体的な研究状況についてだが、「土木技術と材料理論との相互関係」については、ロバート・スチーブンソンがディー橋に使用した鋳鉄と錬鉄でトラスが組まれた梁に着目した。そういった構造の初期のものと思われる梁がイギリスのCoalbrookdale Museum of Ironに保存されており、現地に赴きその梁の断面形状等を調査した。 「蒸気機関と熱理論との相互関係」の主な研究についてだが、高圧蒸気機関の先駆者で蒸気機関車の発明者リチャード・トレビシックの新発見された手紙が2013年に出版されたことを知り、同著の内容について分析を行っているところである。 これらの手紙は1950年代の東京のある書店にて、あるイギリス人が入手し、その価値が分からぬままロンドンの自宅に60年余りに渡って放置されていたものである。判読が難しいであろうこれらトレビシックの手紙は、コーンウォールの著述家サイモン・パーカー氏の努力によって『Horses Stood Still: The Lost Letters of Richard Trevithick』として出版された。この出版された新発見資料についての分析および研究成果は、2016年5月に工学院大学で開催される日本科学史学会第63回年会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トレビシックの新発見資料が『Horses Stood Still: The Lost Letters of Richard Trevithick』として出版されていたこと知り、その詳細を検討することによって、これまでにない大きな前進が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
「土木技術と材料理論との相互関係」については、19世紀における鋳鉄と錬鉄の梁の形状の変遷と当時の材料強度の理論との関連から考察する。 「蒸気機関と熱理論との相互関係」については、『Horses Stood Still: The Lost Letters of Richard Trevithick』の分析を通じて判明したことを、まず2016年5月に開催される日本科学史学会第63回年会で発表し、広く意見を求める。トレビシックがどのような教育水準にあったかも踏まえて、当時の技術者の熱理論と機械技術の展開との関係について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、パソコンを購入する予定であったが、現状のもので間に合わせたため、その分、費用がかからなかったことが理由としては大きい。また、資料整理等のための人件費についても当初の予定を下回ったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
資料整理等にあたらせるアルバイトの人件費・研究上必要な資料や物品等の購入費・海外渡航費等に充てる見込みである。
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