研究課題/領域番号 |
15K16274
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中尾 麻伊香 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (10749724)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 原爆調査 / 放射線被ばく / 被爆者 / 原爆 / 医学調査 / ABCC / 原子力 / 科学言説 |
研究実績の概要 |
今年度は以下のように研究を進めた。 1.被爆地の医師の日誌を調査し、原爆投下後の医療や調査が地元医師によってどのように行われたかを検討した。日誌における記述などから、地元医師と旧帝大の医学者との間の温度差を指摘した。この内容についてAAS(Association for Asian Studies)年会で報告した。関連した文章が、「医師・医学者の被爆記録」として次年度に刊行予定の『読む原爆文学事典』に所収予定。 2.放射線の線量測定に関する技術の進展を調査し、放射線被ばくをめぐる科学知識がいかに技術に規定されているかを、医学における人間と装置の関係を検討するworkshop(Humans & Machines in Medical Contexts: Case Studies from Japan)で論じた。このワークショップの内容は、論集として刊行することが検討されている。 3.放射性物質がどのように人類に見出され利用されてきたかを調査し、核開発が「平和利用」から「軍事利用」へと進んだ側面をまとめた。この内容は、「放射性物質の小史」タイトルで次年度の刊行予定の『核開発の遺産』という論集に所収予定。 4.京都大学基礎物理学研究所に保管されている湯川秀樹資料の分析を行った。湯川秀樹ら物理学者が、原子力の危険性をどのように認識し、戦後日本の原子力行政にどのように関わったかを検討し、『現代思想』の「日本の物理学者たち」特集号に寄稿した。 5.ABCCに関しては、ABCCに勤務していた医師にインタビューを行い、ABCCで行われていた「治療」に関して調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画と変更した部分もあったが、予想外に得られた成果も多く、研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ABCCと地元医師の協力関係について調査を進めるとともに、放射線被ばくを扱った映画や小説を検討し、医学調査との関連を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に繰越ができると聞いていたため。実際は数千円単位の繰越となったが、助成金の使用額が減額となっているため、繰り越せる分は繰り越す予定であった。
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次年度使用額の使用計画 |
書籍代にあてる予定。
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