研究実績の概要 |
三陸海岸北部の河川群を対象とした事例研究を発展させ,2011年東北地方太平洋沖地震に伴う津波浸水マップを活用して,M9クラスの地震に伴う地震津波の遡上様式の空間的なばらつきを,各河川の河川地形の特徴にもとづいて検討した.その結果,2011年の地震津波の遡上長および遡上高度は,各河川の河床縦断面勾配に強く制約を受けたことを解明した.この研究成果は国内学会において発表するとともに,国際誌に投稿・発表した(大上・須貝,2017.JpGU-AGU Joint Meeting; Ogami and Sugai, 2018. Quaternary International). 隆起域の三次元河床縦断面形状および各河川の流路および扇状地の礫径の解析作業を推進し,養老山地および鈴鹿山脈における河川群を対象とした研究内容の取りまとめを進めた.この研究においては,高解像度地形データの解析とフィールド調査で取得した礫径データを組み合わせることによって,三次元的な地形データから取得した河床縦断面形状のパラメーター(Steepness),各河川が運搬した礫の礫径とそれらが作る堆積地形(扇状地)の勾配,および各河川の集水域面積の関係を初めて定量化した.さらに,山地や山脈の頂部に分布する小起伏面の高度分布を長期的な隆起速度のパラメーターとみなせるならば,同じ山地内に限定された河川群において,長期的な隆起速度が各河川の河床縦断面形および扇状地の堆積勾配の違いを説明しうることを示した.その研究成果は国際誌に投稿準備中である.
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