研究課題/領域番号 |
15K16285
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
杉戸 信彦 法政大学, 人間環境学部, 講師 (50437076)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地形 / 活断層 / 古地震 |
研究実績の概要 |
高解像度DEMを用いた変動地形学的解析によって、大阪、上町台地付近や名古屋、熱田台地付近など都市圏の沖積低地に、長波長の微細な断層変位地形が発見された。研究代表者は、これらが弥生時代以降の大地震に伴って出現し、地形環境をひろく激変させたとする仮説を提案している。本研究では高解像度DEMを用いた変動地形学的解析の有効性の検証、また上記仮説の検証のため、旧地形解析や地層掘削調査、居住地空間の変遷に関する調査を実施して、変位地形と表層地質の関係や広域的な地形環境の変化を議論する。 平成27年度は、大阪、上町台地の東方にひろがる河内平野について、瓜生堂遺跡、高井田遺跡、鬼虎川遺跡、森小路遺跡などの発掘調査報告書を精読し、居住地空間の変遷に関する検討を行った。その結果、上町断層帯の最新活動が弥生時代中期末頃に発生し、これに伴って河内平野の地形環境がひろく激変したとする仮説を裏付ける結果が得られた。また名古屋、熱田台地北方に発達する沖積低地について調査を実施した。旧地形解析では、国土地理院1970年代撮影縮尺約1万分の1航空写真を入手し、Agisoft PhotoScan Proを用いて高解像度数値標高モデルを作成したほか、米軍1940年代撮影縮尺約1万分の1航空写真を入手し、写真図化によって地形断面を作成した。表層地質に関する資料の収集や居住地空間の変遷に関する調査も実施した。さらに1847年善光寺地震および2014年長野県北部の地震(長野県神城断層地震)に伴う地形環境変化に関する調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時の計画にほぼ沿う形で、研究実績の概要に記した調査を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に得られた成果にもとづいて、熱田台地北方に発達する沖積低地に関し、引き続き旧地形解析を実施する。また断層変位地形について、沖積層最上部の把握のため地層掘削調査等を実施する。表層地質に関する資料の収集、および居住地空間の変遷に関する調査も引き続き行う。必要に応じて河内平野などについても調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
熱田台地北方の沖積低地における現地調査(地層掘削調査等のサイト選定)を次年度に持ち越したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、この現地調査を含め、今後の推進方策に記した調査を実施する。
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