農村地域の植生景観において,その集落の主要な栽培作物や立地環境の違いが,最近70年間の植生変化に及した影響を比較するために、解析期間、植生図の作成手法、定量的・定性的解析手法を統一し、全国5ヶ所の調査地域で景観構造の動態解析を行った。これにより、1940年代から1960年代までは、ヒトの利用による植生面積の動的平衡状態が続く「里山的土地利用・植生景観」が維持されていたものの、1960年代以降、ほぼ一方的な植生遷移の進行や各地の里山の土地利用を特徴づけてきた木本作物の栽培地の放棄、スギ・ヒノキの植林後の成長により特徴づけられる「ネオ里山的植生」へと変化していることを明らかにした。
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