研究課題/領域番号 |
15K16287
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
齋藤 仁 関東学院大学, 経済学部, 講師 (00709628)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 湿潤変動帯 / 斜面崩壊 / 豪雨 / 台風 / 温帯低気圧 / 確率降水量(再現期間) / 解析雨量 |
研究実績の概要 |
研究目的を達成するために平成27年度に行った研究は,以下のようにまとめられる.
湿潤変動帯に位置する日本列島では毎年,熱帯低気圧(台風)や温帯低気圧による豪雨が発生している.このような豪雨と斜面崩壊の発生との関係は、解析雨量(レーダー・アメダス解析雨量、気象庁)を用いることで精度良く解析することが可能である。特に1988年から運用を開始した解析雨量は,25年以上のデータが蓄積し,水文統計的な解析も可能となってきた.そこで平成27年度は、まず解析雨量を用いて,日本列島の豪雨頻度(確率降水量)データを整備した.本研究では,1988年4月~2013年12月(26年間)の解析雨量(毎正時1時間降水量,空間解像度5kmに編集)を用いた.解析雨量の均質性を検定し,1時間~72時間降水量と土壌雨量指数の年最大値からL-momentsを求めた.以下では,1時間降水量の再現期間50年の確率値について述べる.算出には,一般的なGumbel分布と一般化極値(GEV)分布,及びJackknife法を用いた. 日本列島における再現期間50年の1時間降水量は,17.0-158.0 (平均 68.2)mm/h (Gumble分布),16.8-186.4 (平均 69.6)mm/h(GEV分布)であった.これまでAMeDASデータを用いた確率降水量が産出されてきたが,解析雨量を用いることで,高解像度(5km)の確率降水量と土壌雨量指数の分布を検討可能と言える.本研究により,斜面崩壊の発生,および土砂生産量との関係を分析する上で重要な,日本列島の確率降水量データを整備することができた(Saito et al., 2015, SOLA).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するためには,まず日本列島全域での豪雨頻度を明らかにし,そのデータベースを作成することが重要である.平成27年度は,日本列島全域で豪雨の頻度を明らかにし,確率降水量データベースを整備することができた(Saito et al., 2015, SOLA).こられは本研究の計画通りであり,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,日本列島と台湾(Chen et al., 2015, PEPS)における斜面崩壊の発生とその豪雨イベントの再現期間との関係を分析し、豪雨の発生頻度と土砂生産量との関係の地域性を分析する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年3月に調査出張があり、出張旅費精算は2016年4月以降になるため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年3月の調査出張旅費として使用した。
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