研究課題/領域番号 |
15K16287
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
齋藤 仁 関東学院大学, 経済学部, 講師 (00709628)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 斜面崩壊 / 湿潤変動帯 / 豪雨 / 土砂生産量 / UAV / SfM多視点ステレオ写真測量 |
研究実績の概要 |
研究目的を達成するために平成28年度に行った研究は,以下のようにまとめられる.
湿潤変動帯に位置する日本列島では毎年,豪雨に伴い斜面崩壊が発生している.本研究では、2012年7月九州北部豪雨を事例に、阿蘇山の仙酔峡地域と妻子ヶ鼻地域で多数発生した斜面崩壊の詳細な分布と土砂生産量を解析した.その際には、小型の無人航空機とSfM 多視点ステレオ写真測量により解像度1 m 以下の高精細な空中写真と地形データの取得し,分析した.結果,空間解像度0.04 m のオルソ画像,および0.10 m と0.16 m のDigital Surface Models が得られた.妻子ヶ鼻地域と仙酔峡地域における土砂生産量は,それぞれ4.84×10(5) m(3)/km(2) と1.22×10(5) m(3)/km(2) であった.これらの値は過去に報告された同地域の表層崩壊事例の土砂生産量よりも10 倍程度大きい値であり,阿蘇火山の草地斜面における1 回の豪雨に伴う潜在的な土砂生産量を示すと考えられる(齋藤ほか,2016,地理学評論).
九州山地の市房山を対象に,森林の皆伐が斜面崩壊の発生に与えた影響を,降雨量との関係から明らかにした.その結果、皆伐域において斜面崩壊が発生する基準降雨量は,皆伐前および非伐採域と比較して,半分程度に低下したことが明らかになった.この基準雨量の再現期間は3年以下であり,皆伐域ではほぼ毎年,降雨に伴う斜面崩壊が発生・拡大していたとことが示された(Saito et al., 2017, Geomorphology).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度の成果を基に斜面崩壊の発生と降雨量との関係、および土砂生産量を分析した。これらのことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を踏まえて、日本と台湾における斜面崩壊の発生とその豪雨イベントの関係、および土砂生産量の関係を分析し、それらの結果を取りまとめる計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年3月中旬の調査出張に使用するため、およびその誤差である。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年3月中旬の調査に使用した。残額は2017年度に適正に使用する。
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