研究課題/領域番号 |
15K16294
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
滝 聖子 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (50433181)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経営工学 / 技能伝承 / 作業研究 / 設備管理 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,製造業における熟練者の技能の計測と分析,効率的な人材育成手法の検討と提案に関する研究を実施し,以下の成果を得た. (1)熟練技能の計測と分析:工作機械を用いた金属加工作業を対象とし,経験年数の異なる作業者の作業を計測した.計測したデータを分析することにより,熟練者の加工作業中の眼球運動と身体動作の傾向を明らかにした.また,単純作業との違いを明らかにするため,単純作業における作業者の眼球運動と身体動作も計測し,分析して比較を行った. (2)効率的な人材育成手法の検討と提案:効率的な人材育成について検討するために,実企業における実務者の作業を計測し,人材育成に必要な情報を明らかにする手法についての検討と提案を行った.被覆アーク溶接における溶接品質(表面形状)については,実務経験がほぼ同じ作業者でも溶接品質が異なることを明らかにし,表面形状分析結果から不足している技能(修得すべき技能)を判別できる手法を提案した.また,事務機器生産ラインにおける作業者の作業適性を明らかにするために,一般職業適性検査を行い,検査中の動作の分析結果を用いて現場管理者の評価(実際の作業適性)を判別する手法を提案した. (3)成果発表および研究動向調査・情報収集:Int. J. of Automation Technologyで論文を発表するとともに,国際会議(ICIM2016およびHICE2017)で発表した.また,研究発表において,他の研究者と議論し,国内や海外の現在の研究動向と課題に関する情報収集を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,製造業における技能伝承と人材育成のために,熟練作業者の技能の見える化および作業訓練支援を目標にしている.平成28年度は,(1)熟練技能計測装置を用いた作業の計測と分析,(2)表面形状分析を用いた溶接技能判別手法の提案,(3)事務機器生産ラインにおける作業者の作業適性の判別手法に関する研究を実施した.これらの研究成果の一部は,論文誌および国際会議にて発表した.また,平成29年度の国際会議等での発表も予定している.以上のように,平成28年度の研究実施計画をほぼ達成できており,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の平成29年度は,次の2項目を実施し,国際学会および論文誌等で研究成果を発表する. (1)熟練技能の定量化と習熟に関する調査:作業者の身体動作と眼球運動の関連を明らかにするとともに,作業の習熟の個人差と生体情報への影響についても調査を行う. (2)技能伝承支援システムの有効性の検証:技能伝承支援システムを用いて実験を行い,システムの有効性を検証する.そして,より有効なシステムの使用方法と対象作業を明らかにすることも試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究成果の一部の発表が次年度になったため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の研究成果を国際会議(16th Annual Hawaii International Conference on Education)などで発表予定であるため,その参加費および旅費,英文校正代に使用する予定である.
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