平成29年度は,製造業における熟練技能の定量化と習熟方法の提案,構築した技能伝承支援システムの有効性の検証に関する研究を実施し,以下の成果を得た. (1)熟練技能の定量化と習熟方法の提案:工作機械を用いた金属加工作業を対象とし,工作機械の使用時に加えて,計測機器を使用する際の作業者の眼球運動と身体動作を計測して分析することにより,熟練者の金属加工作業中の眼球運動と身体動作の傾向を明らかにした.また,単純作業についても,平成28年度に行った実験の計測データを用いて分析を行い,単純作業における眼球運動と身体動作(手腕動作)の関係性について明らかにした.以上の分析結果から,熟練技能の早期習得のために必要な改善方法を提案した. (2)技能伝承支援システムの有効性の検証:遠隔通信を想定した技能伝承支援システムの有効性を検証するために,他の条件でも実験を行い,作業時間および作業ミス等を比較することにより確認した.さらに,一連の作業を細分化して動作分析を行うことにより,構築したシステムを効果的に使用することのできる作業内容を明らかにした. (3)成果発表:International Journal of Japan Association for Management Systemsで原著論文を発表するとともに,国際会議16th Annual Hawaii International Conference on Education (HICE2017)で成果を発表した.
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