研究課題
本年度は、昨年度までに構築した仕組みの標準化を進めるために、被災者生活再建支援過程の実態を時系列で分析し、過去災害との比較検証を行い、次の支援策展開に利用できる標準的なウェブの仕組みとして実装した。具体的には、熊本地震を事例として、熊本県下で被災した18市町村を対象として、自治体が被災者に対して提供した各種支援制度の日別の業務負荷量を明らかにするとともに、2007年新潟県中越沖地震と比較し、災害間での業務負荷量の発生状況の関係性を明らかにした。本分析により、被災者生活再建過程における被災者の「申請」という行動はランダムに発生すると想定されるものの、実際には災害間で高い相関があることが判明した。この関係性は、災害発生前から支給要件が決定できる業務に限られる。義援金や応急仮設住宅の入居受付のように、災害ごとに要件や時期が変わるものについては、関係性は低い。前述の支援要件が事前に決定される制度は、被災者が被災時に期待できる支援であり、それらは高い相関を有することから現象の再現性が確保される。これらの研究成果を踏まえ、業務負荷量を推定するためのシミュレーションツールの設計・開発を実施した。被災者生活再建支援にかかる業務量を規定する主な要因として、被害判定別家屋数、住民世帯数、家屋総数の地域および被害の特性に加え、曜日ごとの業務量の増減が確認されており、災害発生日の曜日も位置づけた。そこで、これらの要因と、過去災害における被災者生活再建支援にかかる業務発生量の実態を組み合わせ、シミュレーションツールとして構築した。このシミュレーションツールを利用することで、被災者の動きを推定しつつ、必要とされる支援ならびに先読みした支援策の検討を可能とする。パーソナルファイルとして実装される個票機能と合わせて利用することで、被災者の動きを捉えながら、的確な支援展開を行うための仕組みが整備された。
学会発表(2)については、情報処理学会 第16回 科学技術フォーラム「FIT奨励賞」を受賞(2017年9月14日)
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電子情報通信学会技術研究報告 安全・安心な生活とICT
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