研究課題/領域番号 |
15K16302
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
丸茂 喜高 日本大学, 生産工学部, 准教授 (00409088)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 安全システム / 運転支援システム / ヒューマンインタフェース / オーグメンテッドリアリティ / ジレンマゾーン / 信号交差点 / 状況認識 |
研究実績の概要 |
本研究は,信号交差点において,ドライバが黄信号に遭遇した際の判断の迷いを抑制することをねらいとする.前方の交差点の信号情報(残り時間)を取得することを想定し,通過(GO)および停止(NOGO)の判断を支援する評価指標を前方の路面上に仮想的に呈示することで,交差点での急減速や無理な通過によって生じる交通事故を未然に防ぐことを目的としている. 平成27年度は,ドライビングシミュレータ上に,提案する運転支援システムの構築を行った.運転支援システムの有効性を検証するために,実験条件等の策定を行い,実験参加者によるシミュレータ実験を行った結果,支援の有無により,信号切り替わりタイミングによる通過・停止の割合に違いが見られた.支援がない場合には,判断に迷うジレンマゾーンにおいて,文字通り通過と停止のそれぞれの対応が確認されたが,支援を行うことにより,信号切り替わりタイミングにより,通過か停止のいずれかが100%の割合になり,ジレンマゾーンへ陥ることが回避された. 具体的には,支援がない場合には,黄信号になってから,通過・停止の判断を行うことで,急な減速や無理な通過が確認された.一方,路面呈示の支援により,黄信号になる前に通過・停止の判断が可能になり,通過が不可能な場合には,黄信号前に減速行動を開始し,通過が可能な場合には,黄信号になっても迷うことなく通過することが確認された.停止した場合の減速度に着目すると,運転支援を行うことで,減速度の最大値や平均値が有意に低減することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GO/NOGOの判断を支援する評価指標を路面に呈示する運転支援システムについて,基礎的な支援の有効性は,シミュレータ実験を通して確認することができた.運転支援支援システムを用いることで,信号交差点の通過・停止の判断を,黄信号になる前の青信号中に判断することが可能になり,急な減速や無理な通過を回避することが可能となった. これらの研究成果について,学術講演会における口頭発表を行うとともに,査読付き学術雑誌へ投稿を行った.国内のみでなく,海外でも研究成果を発信するために,平成28年度に国際会議での発表も行う.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,自車の前を走行する先行車がいないような,理想的な状況での運転支援システムの効果検証であり,実際には,先行車が走行するシーンが多い.その際,路面上へ呈示した評価指標の視認性に影響を及ぼすことが考えられるため,平成28年度は,より実際に近い状況下での支援システムの有効性を確認する. さらに,従来型の支援である車載表示器による情報呈示との比較を行うことで,路面上に情報を呈示することの優位性について検証する. これらの検証では,平成27年度に導入したDS専用ソフトウェア(DS-nano-)を活用して行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に執行を予定した中で,物品費と人件費・謝金については,当初の計画通りであり,旅費が予定を下回った.国内での研究打合せや研究動向調査などが,当初予定していたものよりも少なかったことによるものである.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度のシミュレータ実験等に要する物品費や人件費等の見込みは計画通りであり,平成27年度に十分行えなかった研究打合せおよび研究動向調査等を積極的に行うことで,今後,計画しているシミュレータ実験の検討内容に反映させる予定である.
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