研究課題
船員数の減少や高齢化が進む中,衝突海難を減少させるためには,すでに多くの船舶で導入されているレーダによる航海士の見張り精度の向上が必要である.本研究は,航海士の状況認識の特徴を反映したレーダにおける船舶画像の実用的な自動捕捉方法を提案することを目的として実施した.まず,操船者が注目している船舶と見張りの優先順位の特徴を明らかとするため、SAGAT(Situation Awareness Global Assessment Technique)を用いた操船シミュレータ実験を行い,一般的な交通流における操船者の他船に対する見張り状況(状況認識)を計測した.また,一般的なレーダの使用方法を含む見張り作業についてヒアリング調査を行った.その結果,操船者が同時に見張りを行うことができる船舶の数は最大でも5隻であること,見張りの優先順位には他船の距離と方位変化率及び見合い関係の3つが大きく影響していることが明らかとなった.そこで研究代表者は,見張りの優先順位が高い船舶を自動判定する指標を作成し,提案を行った.一方,レーダ画像には陸上や航路標識,海面反射等,船舶以外の画像も多く含まれる.そこで本研究では,船舶の可能性が高い画像をあらかじめ画像処理により自動抽出するアルゴリズムの改良を行った.平成29年度は,雑音の量に応じて,船舶の可能性が高い画像をレーダ画像処理により自動抽出し,その後,操船者の状況認識の特徴を反映した指標を用いて,自動捕捉が必要な船舶画像の選定を行う「レーダにおける船舶画像の実用的な自動捕捉アルゴリズム」の実装を行った.さらに,操船者の主観的評価より,本アルゴリズムが操船実務経験者の見張り傾向を十分に反映していることを確認した.
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TransNav, the International Journal on Marine Navigation and Safety of Sea Transportation
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