研究実績の概要 |
平成28年度の研究計画でやや遅れていた【(6)海上交通分析②(AISデータ・ヒアリング調査・レーダ観測)】に関する研究、および平成29年度の計画に基づき、【(7)望星丸および北斗丸における津波襲来時の避難対策】の研究を行った。また、平成28年度の研究実績で示した通り、漁船が航行する航路外にも衝突針路エリアが形成されていることが判明した成果を、ポーランドで開催されたTransNav2017において発表した。 (6)では、レーダ画像処理によるAIS非搭載船舶の航跡抽出をい、聞き取り調査で判明したAIS非搭載船舶との航跡との比較を行った。聞き取り調査で判明した航跡以外にも、駿河湾全体にAIS非搭載船舶が観測されたが、メインとなる漁船の航跡については聞き取り調査とほぼ一致することがわかった。清水港周辺におけるOZTの存在回数について1年間のAISデータを用いて分析を行った。以上の結果とこれまでの研究より、(7)について、実際に本学所属の望星丸(2,174ton)および北斗(18ton)での津波来襲時の船舶に何対策について航海士と協議を行った。駿河湾は地震発生から津波到達までの時間が短く、清水港では3分と推測されている。このことから、北斗においては停泊場所から港外退避は現実的ではないため船員は基本的には陸上避難となり、海上にいる場合は船長の判断により陸上もしくは安全な水域に避難することが確認された。避難する場合は、本研究で明らかとなった航路入り口付近から港外のエリアにおいては注意して航行することとなった。望星丸の停泊場所は港の出口から約2.5マイルとなる。出港準備や停泊当直体制から検討した結果、停泊中は基本的には陸上避難となることが確認された。それ以外の場合は、北斗と同様に船長の判断により安全な水深に避難する。注意する海域としては、北斗と同様となる。この成果をAsia Navigation Conference 2017(中国)において発表した。
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