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2015 年度 実施状況報告書

アンサンブル予報データを用いた確率降水量の評価

研究課題

研究課題/領域番号 15K16316
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

藤田 実季子  国立研究開発法人海洋研究開発機構, シームレス環境予測研究分野, 技術研究員 (50426293)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード極端事象 / アンサンブル予報 / 領域気候
研究実績の概要

近年、気候変動・温暖化に伴う降水の極端化が懸念されている。強い降水は特定の年だけでなく、長期的に見ても頻度が増加していることが多く指摘され、さらに将来の温暖化気候においても、より極端化の傾向が強まるとIPCC第4次報告書で示されている。一方で、大気の振る舞いには、将来の状況を断定的には予測できないという性質(カオス性)があり、強雨などの短時間現象については予測の誤差が大きく難しいという現実がある。今後の予報や防災の体制を改善する必要があると考えられる。
河川管理等の指標として、100 年に1度の大雨といった確率降水量が用いられる。気象庁では「異常気象リスクマップ」として大雨の確率降水量を掲載し、温暖化による気象状況の変化と 防災を呼びかけている。さらに 50 年確率値(50 年に 1 度の雨)を用いた「記録的な大雨に関する気象情報(例:これまでに経験し たことのない大雨)」の発表を 2012 年から実施しより切迫した状況を伝えることを意図している。
ところが、この確率降水量推定の精度に関する問題が指摘されている。確率降水量の推定では、観測による確率密度分布をもとに複数の極値分布を当てはめ最適なものを適用するが、過去の研究では、統計期間が短いと極端な事例の再現期間(x 年に一度)が小さめに算定される傾向があり、推定値(何 mm の雨)は再現期間が長くなるほど増加するが、推定幅はどの分布でもある程度持つことを指摘されている。
さらに、近年頻発する「これまでに経験したことのない大雨」がどのような条件で起こったのか、気象学的な予報誤差の範囲でどの程度の幅を持つ現象なのかを知ることは、防災の観点からも重要と考える。
そこで本年度は、予報スプレッドに注目し2015年に起こった鬼怒川豪雨の成因や傾向の解明のために、予報データを2週間前まで遡り複数回の力学的ダウンスケールを実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

対象事象について、主に降水過程に注目したテスト実験を力学的ダウンスケールを大気領域モデルWRFを用いて複数回実施し、実況値に近い再現性を持つモデル設定を決定した。21メンバx49=1029回分のデータを初期値・境界値に設定し、全てのケースについて、実施・完了した。実況値を初期値・境界値に用いたコントロール実験も完了した。対象事象は2つの台風の進路に大きく影響しているが、降水量が極端に多くなる地域は限定されていることが分かった。当初の計画であった実験のみならず、観測値と比較した初期解析まで進めることができた。

今後の研究の推進方策

得られた実験結果のさらなる解析を実施する。1000を超えるケースのなかでも、極端な降水が頻発する条件や地域について抽出しその原因を探る。また予報スプレッドと台風の進路から、予測可能性についても研究協力者の意見を仰ぎ解析を試みたい。

次年度使用額が生じた理由

研究協力者との打合せをメールベースで行っていたため旅費が節約できた。物品については価格変動のため当初予定より安価であった。外注費については計算ツールが流用できたため納期が短縮され当初予定より安価であった。以上により未使用額が生じた。いずれにしても研究の遂行に問題はない。

次年度使用額の使用計画

国際会議での発表、解析用PCの購入、統計的解析の外注を追加で予定している。計算結果が揃ったので研究協力者との議論を充実させる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 黒潮続流域における水蒸気の不均一性2016

    • 著者名/発表者名
      藤田 実季子 , 川合 義美 , 永野 憲 , 谷口 京子
    • 学会等名
      日本海洋学会 2016年度春季大会
    • 発表場所
      東京大学、東京都文京区
    • 年月日
      2016-03-15

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公開日: 2017-01-06  

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