研究課題
超高齢社会が進行する中、高齢者にとって負担なくセルフケアができ、安心で健康な生活を支援してくれる新規ヘルスケア機器の開発が急務となっている。しかし、従来機器はセンサの身体装着や機器操作が必須で、使用者にとって負担であり、継続的計測は極めて困難である。申請者らは、これまで家庭用調度 (ベッド・トイレ・浴槽) にセンサを内蔵することにより、センサ装着や機器操作を一切必要としない「無意識生体計測法」の開発を進めてきた。この技術は、普段の暮らしで自動的に生体情報が得られるが、センサがあることへの違和感や緊張感を完全に取り除けたとは言い難かった。そこで、本課題は、家庭内事故が急増している浴室に着目し、浴槽壁内部に完全に埋め込まれ、入浴者には外見上全く見えないセンサ(電極)で、心電図・呼吸情報を検出する全く完全無意識型システム開発を目指した開発研究を実施した。平成28年度は、当初研究計画書で記載した次の項目について研究開発を実施し、以下の成果を得た。(1)入浴者の心電図・呼吸情報検出方法の検討:浴槽壁の内部へのセンサの内蔵方法(最適な電極の大きさや設置位置、ノイズ対策方法)を検討し、入浴者の心電図や呼吸情報を検出するシステムの具現化と精度評価。(2)実用プロトタイプ試作開発と性能評価:浴室スペースに内蔵可能な計測システムのプロトタイプを完成させ、日常生活下での実測から、信号検出精度や有効性を実証。これらの実施内容から研究成果として、容量結合方式による完全無意識型浴槽心電図・呼吸計測システムを開発した。また、システムの妥当性に関する研究成果を国際学会および国際論文誌に公表した。以上、本研究課題から得られた成果・学術的知見を基盤とし、これからも目的とする無意識生体計測法を継続的に研究開発していく予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
BioMed Eng OnLine
巻: 16(10) ページ: 1-13
10.1186/s12938-016-0304-9