研究課題
アルツハイマー病は認知症の半数以上を占める疾患であり、特徴的な病理学的所見は脳内での老人斑と神経原線維変化の形成である。老人斑は発症の10 年以上前から出現し、その後に神経原線維変化が形成され、認知症状が出現するという経過をたどる。すなわち、早期診断には老人斑の検出が、発症予測には神経原線維変化の検出が重要視される。そこで近年、アルツハイマー病の病態解明と診断のために、脳内の老人斑と神経原線維変化を非侵襲的にイメージングする方法の研究が進めらている申請者は老人斑の画像化のためのフッ素MRIプローブを開発して、アルツハイマー病遺伝子改変モデルマウスにおける老人斑の蓄積をMRI で検出することに成功した。本研究では、神経原線維変化をフッ素MRIにより検出するためのプローブを開発する。そして、これまで開発してきた老人斑用プローブと神経原線維変化用プローブ用いて、老人斑と神経原線維変化の同時解析を実現するフッ素MRI画像解析システムを構築する。今年度は基本骨格となる化合物8個を新規に合成して、アルツハイマー病脳切片における神経原線維変化への結合性を試験した。また、加齢に伴って神経原線維変化が脳内に出現する遺伝子改変マウス(rTg4510マウス)を購入し、飼育・繁殖中である。
3: やや遅れている
遺伝子改変マウスの飼育・繁殖に想定よりも手間取ったため、当初予定よりも動物実験の開始時期が遅れてしまった。
神経原線維変化を画像化するための候補プローブは合成済みである。今後、rTg4510マウスを用いてフッ素MRIによる画像化の条件を最適化する。さらに、老人斑用のプローブと組み合わせた、ダブルプローブイメージングについて撮像条件を検討する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
Neurochemistry International
巻: 94 ページ: 74-81
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