研究課題/領域番号 |
15K16337
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
中林 正隆 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50638799)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 流体内推進機構 / 推進 / バイオミメティクス / 医用工学 / 流体力学 |
研究実績の概要 |
以下に研究実績について述べる。 1.ユーグレナの表皮帯を規範とした全弾性流体内推進機構の新実験機開発(平成28年度指摘点):機械的な問題を解決した実験試作機が完成し、変形運動の安定性を実現することができた。駆動用のアクチュエータはステッピングモータ1台とし、ギアボックスを介して、各複合金属ワイヤを巻き取るギア付プーリを配置した。運動パターンに合わせて接続するギアの位置を変更することで任意の形状となる運動を実現することができた。 2.新実験機に対応した実験機の計測系の開発:流体力を計測する方法を微少力計測に適応したロードセルを採用することで安定した計測を実現した。更に流れの可視化についても作動流体は水とし、トレーサをオルガソール粒子、光源をHIDランプのシート光とすることで、発生する流場における渦度など細かな流れを捉えることに成功した。 3.運動形状および流体力に関する試験的考察:これらの試験結果から推進機構の運動形状は、弾性収縮機構が一定の収縮率を超えると単純なフィンの揺動運動のような運動形態からS字屈曲運動に変化する傾向があることが確認された。また試験機の特性として左右非対称の運動を行うことが分かった。この運動の際の推進力波形が確認され、正の平均推進力が現れた。更に流体力についてだが運動周波数が一定数以上になると収縮速度に遅れが生じ、変形が安定しなくなるために流体力も充分に得られなくなるという傾向がみられた。 しかしこれらは試験的に得られた傾向にすぎず、充分な議論を行うには更にデータを取得する時間が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科学研究費助成事業補助期間延長承認申請書にも記載させていただいたが、当初問題があって遅れていたが、現在になってほぼ解決し順調にデータ取得の方向に向かっている。
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今後の研究の推進方策 |
機械的な機体の計測系にたいする問題や機構の問題が解決し、あとは詳細な推進特性について議論しなくてはならない。アクチュエータの駆動状況がしばしば安定しないときがあるため、この問題についても解決させつつ、運動周波数による形状の変化の過程、収縮パターンによる発生する流体力や流れ場の違いに対する考察など、詳細な議論を行っていきたい。 今後はこれらの議論を詰め、国際会議や投稿論文など研究成果に繋げていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 実験中に実験機破損などの問題が生じる可能性は充分にありうる。この修理と国際学会参加費などに充てる必要がある。 (使用計画)上記の通りの理由で修理については随時必要分を充てる。国際会議についてはISABMEC2018に参加申込み済みである。
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