研究課題
消化管の動きを計測し,運動機能を定量的に評価するシステムの開発を提案する.本年度は,容積計測および内視鏡の移動量推定アルゴリズムの開発を中心に研究を行った.消化管の容積計測が可能となれば,消化管の伸縮性能を評価できると考えられる.複眼構造を持つ内視鏡を用いて消化管を3次元計測し,消化管が概ね直管の連結で近似できることを利用して一定距離ごとに消化管の径を計測して積分を行うことにより容積を計算するシステムを構築した.システムの評価を行うために,既知形状物体として,シリンジ内に消化管のテクスチャを貼り付けたものを使用して検証を行った.また,内視鏡を体内に挿入して計測する場合,内視鏡先端は宙に浮いた状態であり,位置が常に一定とは限らない.時系列で消化管の運動を評価するためには,内視鏡の位置合わせが必要となるため,内視鏡の移動量推定システムを合わせて構築した.複眼構造を持つ内視鏡を用いるため,計測範囲内の物体の3次元的な移動量を計測することが可能であり,この情報から内視鏡の位置推定を行うことができる.ただし,消化管の動きを計測することを目的としているため,内視鏡でとらえた動画像中には消化管自身の運動に起因する動きとカメラが動いたことに起因する動きの両方が含まれる.そこで,パラメータのロバスト推定に一般的に用いられているRANSACアルゴリズムを用いて,消化管自身の運動に起因する動きを排除することを試みた.CG画像及び既知の動きをする人工物を与えた軌跡で動く内視鏡で撮影して検証を行った.
2: おおむね順調に進展している
現在システムの構築は順調に進んでおり,計測しやすい形状の物体については検証が進んでいる.
実際の消化管は襞があることやテクスチャが人工物とは異なるため,それらへ対応できるようにシステムを改良し,動物の腸などを用いて検証を行う.
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