研究課題/領域番号 |
15K16340
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
吉光 喜太郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00551326)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ジェスチャーインタフェース / 空間投影 / 赤外線深度センサ / 空中ディスプレイ |
研究実績の概要 |
実施成果1:動作捕捉プログラムの作成 動作捕捉デバイスにはマイクロソフト社製Kinect for Windows v2センサを用い、センサに対し手をグーにして三次元医用モデルを回転、パーにして固定、近づけたり遠ざけたりするとモデルが拡大/縮小表示でき、加えて操作者がモデル内に入り込み様々な角度から生体組織を観察するフライスルーも可能にした。Kinectは操作者の体全体の動きから動作を同定するため必然的に操作者は画面から3,4メートル離れなければならない。そこで新たに市販開始されたIntel社製RealSenseを用い動作捕捉プログラムを作成・検討した。RealSenseを用いることで操作者はモデルに対し1メートルの近接位置で操作可能になり操作性の向上が示唆された。 実施成果2:空間投影法に関する反射材の検討 ユニチカ社製の再帰反射シート使用した空間投影を実施した。その結果手術室環境光量下にて十分な輝度と解像度を有した投影画像が得られなかった。特に輝度については暗室にて投影画像が確認できるほどの品質であったため、代替案としてアスカネット社製のエアリアルイメージングプレート(AIプレート)を用いて投影するシステム構成に改良した結果、手術室環境光量下においても解像度1280 x 800 の十分な輝度を有した画像を空間投影でき当初の目標を達成できた。 実施成果3:空間投影装置の製作 上記の動作捕捉アルゴリズムおよび空間投影法を用い、装置内に投影モデルを映像源として10インチタブレット端末を内蔵し、装置上面にRealSenseを搭載した空間投影装置の機能試作を行った。AIプレートは215mm x 175mmにカットし、装置材料には実践時の取り回しを容易にするためアルミ製とした。端末に表示された映像源の装置内でのAIプレートを介した乱反射を防ぐため黒色アルマイト処理を表面に施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.動作捕捉プログラムの作成 本研究にて提案している投影モデルを近接位置で操作する動作を捕捉するためにはワイドレンジの認識距離を必要とするKinectの使用は不向きであった。そのため代替センサとして新たに市販開始されたRealSenseに変更し、当該センサ専用の動作捕捉プログラムを作成した。実装した後操作性の向上が示唆され、当初計画になかったRealSenseを搭載した空間投影装置の機能試作が完成したことから進捗状況は計画より進展している。
2.空間投影法に関する反射材の検討 当初の計画していたユニチカ社製の再帰反射シートは目標とした空間投影に十分な輝度と解像度を有しておらず、解剖学的に臨床使用に耐え得るものではないと判断した。代替案としてアスカネット社製のエアリアルイメージングプレート(AIプレート)を用いシステム構成を再考し改良をしたことで来期実現目標としていた十分な解像度、および輝度を有した画像を空間投影することができたことから本項目においても進捗状況は予定より進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.動作捕捉プログラムの作成:RealSenseを用いた動作捕捉アルゴリズムは、Kinectと比較してその操作性の向上が示唆されている一方、これまでに臨床医による評価が実施されていないため、操作性に関し定量的な評価を実施する。 2.空間投影法に関する反射材の検討:エアリアルイメージングプレート(AIプレート)を用いて輝度、解像度ともに十分な仕様の空間投影が実現できたが、視野角やさらなる高解像度化に向けた検討を行っていく必要があると考えている。今後更に解像度を上げていく予定である。 3.空間投影装置の製作:空間投影装置の本試作を実施する。臨床導入に際しては臨床環境、および術野を侵さないよう出射装置を一式天吊型のモジュールシステムとして導入を目指す。機器評価項目としては空間投影表現に関し、投影輝度、解像度、応答性に関する評価を実施する。 4.システム全体の評価:執刀外科医によるインタフェースの評価を実施する。Opectを構築した際に実施した評価項目と同様に操作性、機能性、有用性、将来性について使用者アンケートを実施し検討する。臨床応用は脳神経外科、呼吸器外科、形成外科を予定しており、各科からのフィードバックを得ることで症例特有の画像表示レイアウト、最適画像出射プロファイルを形成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
空間投影装置製作の一部改良に使用するパーツの納期が年度内に調整できないとのことで残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
同製品を翌年度開始早々に手配する予定である。
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