• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

生体コンディションに依存した可塑剤毒性増幅現象の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K16343
研究機関東京大学

研究代表者

藤澤 彩乃  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (10624885)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード可塑剤 / 毒性評価
研究実績の概要

軟質ポリ塩化ビニル製医療機器からの可塑剤溶出は、主に欧州において毒性の疑いから代替が進められている。すなわち、汎用されていた Bis-(2-ethylhexyl)-phthalate (DEHP) を Trioctyl trimellitate (TOTM) へ置き換えた製品が開発されてきた。一方、DEHP及びTOTMのいずれを使用した製品においても、透析時の不明熱等の起炎性を疑う現象が報告されており、潜在的な毒性の評価が不十分であると考えられる。本研究では、毒性発現が生体コンディションに依存する可能性を明らかにし、感度よく使用実態に即した安全性試験法を提案することを目的とした。
昨年度までに、ヒト新鮮血を用いた試験で可塑剤由来の炎症反応機序を解析し、異物貪食反応の関与が最も高いことが示唆された。合わせて同様の試験をラット血液を用いた系として立ち上げ、無処置のラットから採血した血液を用いたサンプルについて、サイトカイン濃度測定が可能であることを確認した。
本年度は、ラットの自然免疫系を活性化する目的で環境負荷による交感神経優位状態や体温上昇を誘発する手法を確立した。続いて、負荷個体より採取した血液を用いて可塑剤との共培養を行い、上清サンプル採取を行った。
後述する理由により研究進捗が遅れたため、予定していた遺伝子レベル及びタンパク質レベルでの解析は完了しておらず、次年度に継続実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

昨年度までの課題進捗状況は順調であった。
当初の計画において、環境条件を負荷したラットを用いた毒性試験と網羅的解析、特定した因子の確認実験を行う予定であったが、後述するように本研究に充てるもの以外のエフォートにおける業務が間歇的に発生し、ラットの環境条件負荷に十分な時間を確保することが難しく、処置動物の血液を用いた培養サンプルを得る段階までの進捗に留まった。したがって、研究課題全体としての進捗は遅れている。
ただし、本年度発生した業務は一時的なもので、次年度の状況は改善される見込みであるため、次年度でのキャッチアップは可能な範囲の遅れである。

今後の研究の推進方策

本年度に遂行できなかった遺伝子レベルおよびタンパク質レベルの解析を次年度に行う。機序を明らかにし、推定した因子と経路についての確認実験を阻害剤などを用いて行う。もっとも感度の良い試験系を in vitro で立ち上げるために細胞株の検索と評価を行い、確立した試験系についてはDEHP、TOTM、あるいは他の可塑剤の毒性評価を行なってヒト新鮮血液での結果を精度よく再現することを最終的な目標とする。

次年度使用額が生じた理由

本研究に充てるものを除くエフォートを以って遂行する業務において、本年度には学内に新規共同利用施設の立ち上げを行なう必要があった。この業務は本年度中に限って一時的に発生するものであったが、特に7月以降は間歇的に多くの時間を割くこととなったため、本研究の遂行に必要であった時間をまとまって確保することができず、研究の進捗に支障を来した。
なお、立ち上げ業務については概ね完了したため、次年度は当初の予定通りに連続して時間を確保できる見込みであり、昨年度に効率的に進めた研究成果と合わせて、目的の成果を得ることができると考えている。

次年度使用額の使用計画

遺伝子レベル、タンパク質レベルでの網羅的解析と、阻害剤を用いた確認実験に要する費用は次年度使用額から支出する。
当初より次年度に予定していた in vitro 試験系確立のための費用は、当初計画における平成29年度請求額に相当し、研究計画の遅れと合わせて次年度中にキャッチアップする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 医療用プラスチック製品の各種可塑剤に対する炎症惹起メカニズムの解析2016

    • 著者名/発表者名
      藤澤彩乃, 福井千恵, 野村祐介, 鄭雄一, 蓜島由二
    • 学会等名
      第38回日本バイオマテリアル学会大会
    • 発表場所
      福岡・福岡国際会議場
    • 年月日
      2016-11-21 – 2016-11-22

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi