PAD患者における歩行速度低下の原因を調査することを目的とした。三次元動作解析装置を用いて、①健常高齢者との比較、②血行再建術前後での比較を行った。①では、快適歩行と速歩の両条件で健常者に比しPAD患者では歩行速度、股関節屈曲筋の求心性収縮によるエネルギー産生が低下していた。②では、PAD群は術後に歩行速度、股関節屈曲モーメントが増加したが、健常群に比し歩行速度と股関節屈曲モーメントの有意な低下が残存した。PADの運動療法は、これまで足関節底屈筋に対するトレーニングが中心であったが、股関節屈曲筋に対するトレーニングがPAD患者の歩行機能向上へ繋がる可能性がある。
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