研究課題/領域番号 |
15K16357
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
及川 真人 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (80646109)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肺癌術後患者 / 理学療法 / 非監視型運動 / 運動耐容能 / 健康関連QOL |
研究実績の概要 |
本研究は肺癌術後患者における術後身体運動機能および健康関連QOL(HRQL)の早期回復に向けた非監視型運動の有用性を検討することを目的とし,平成27年度は研究に先立って非監視型運動の安全性について検討した.安全性検証は,術後の6分間歩行距離(6MWD)低下率が10%以上である有意な身体運動機能の低下をみとめ,Clavien-Dindo分類のGrade3以上の重篤な術後合併症がなく,医師によって非監視型運動が許可された症例を対象とした.対象者には通常の退院前指導に加えて,運動パンフレットを用いた筋力トレーニングと身体活動量計(Kenz Lifecorder Ex)を用いた持久力トレーニングを1セッション30分,週5回以上,術後1ヵ月まで実施するよう指導を行った.また同時にセルフマネージメント日誌(呼吸リハビリテーションマニュアル-運動療法-第2版)の記録を義務付け,記録に基づいた定期外来受診時の面談と,週1回の電話連絡によって有害事象の発生状況を調査した.調査の結果,退院後の在宅生活において,労作時呼吸困難と術創部痛の遷延はみとめるものの時間経過とともに症状は軽減し,また症状の増悪および新たな症状の出現など,有害事象の発生は1名もみとめられなかった.以上の結果より,肺癌術後患者における非監視型運動は,安全に実施可能であることが本年度の調査より示された.これは今後の研究課題である肺癌術後患者における非監視型運動の効果を検証するうえでの重要な基礎データとなる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は「肺癌術後患者における非監視型運動の安全性の検討」を課題とし,本課題は予定通り達成したたため概ね予定通り計画は進行している.しかしながら,非監視型運動の効果検証のためのアウトカムの蓄積および症例数は予定数におよばずに課題が残る結果となったため,進捗状況はやや遅れていると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から,肺癌術後患者における在宅の非監視型運動は安全に遂行可能なことが明らかとなった.今後は,本結果を研究協力者である呼吸器外科医に公表することにより,積極的な新規症例の紹介を依頼し,肺癌術後患者の在宅における非監視型運動療法が術後の身体運動機能およびHRQLの回復におよぼす効果検証を継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は研究の着手に際して,新規の身体活動量計や運動機能検査のための評価・計測機器などの機器購入を予定していたが,安全性の調査のみにとどまり,既存の機器で対応可能であったため.
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次年度使用額の使用計画 |
在宅における非監視型運動の積極的な導入に向けて昨年度購入予定であった身体活動量計や,評価・測定機器の購入を予定している.また,情報収集や成果報告を目的とした国内外の学会参加および論文投稿を予定しているため,それらの費用に充当したいと考えている.
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