研究課題
本研究は、肺癌術後患者における術後身体運動機能および健康関連QOLの早期回復に向けた非監視型運動の有用性を検討することを目的とし、平成30年度は非監視型運動療法を実際の術後患者に適用してデータ収集を開始することを予定した。まず、本研究の安全性に関しては、微細なものを含めあらゆる有害事象も適用した症例すべてにおいてみとめられなかった。また、入院による化学療法を必要とした症例を除いて途中脱落例はみとめられず、本プログラムの実現可能性についても確認された。次いで、非監視型運動療法の効果に関しては、身体運動機能の指標とした6分間歩行距離(6 minute walking distance: 6MWD)において、対照群では術前 525m, 術後1ヶ月 503m(-22m)であったのに対して、介入群は術前値 555m, 術後1ヶ月 566m(+11m)と術後1ヶ月において、術前値よりも6MWDが延長するまで有意な身体運動機能の改善をみとめた。一方で、健康関連QOLの指標であるEORTC QLQ-C30の得点では、対照群では総得点が術前 83点、術後1ヶ月 83点であったのに対して、介入群は術前 64点、術後1ヶ月 67点といずれも健康関連QOLの改善には差をみとめなかった。これらの結果よりこれまでのところ、肺癌術後患者に対して在宅で実施する非監視型運動療法は、安全に実施可能であり、術後の身体運動機能の回復に寄与する可能性が示唆される。
3: やや遅れている
研究の開始にあたり、機器の選定やシステム構築に予定よりも時間を必要とし、データ収集の開始が遅れた。そのため参加症例が、予定症例数よりも少なく、上記通りやや遅れた進捗状況となっている。
研究の方法論が確立され、データ収集が進んできているため、このまま現行通り、データ収集を継続する。また適宜、解析を行い、傾向の確認を行う。
本研究に使用する身体活動量計を購入予定数まで購入をせず、また収集データ数が不足したため成果報告にいたらずに使用額に差が生じた。令和元年は機器の購入と学会発表、論文投稿による資金利用を予定している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
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