研究課題/領域番号 |
15K16363
|
研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
大塚 裕之 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 助教 (70708544)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 運動学習 / 有酸素運動 |
研究実績の概要 |
有酸素運動の直接的な影響として、中枢神経に対し神経可塑性を高めることが知られている。本研究課題の目標は、有酸素運動と運動学習課題の併用による運動学習促進効果を解明することにある。本研究成果を応用して、脳卒中や神経疾患患者のリハビリテーションプログラムへの応用が考えられる。 平成28年度の研究目標は、平成27年度に一過性の中強度の有酸素運動が直後の運動学習の獲得・保持を促進させることが明らかとなったため、より最適な有酸素運動の運動強度を探るため、低強度・中強度・高強度の有酸素運動が運動学習に与える影響を検討した。 有酸素運動はリカンベント式自転車エルゴメータを用い、運動負荷は低強度を57~64%HRmax、中強度を64~76%HRmax、高強度を76~96%HRmaxでモニターした。学習課題は右示指外転のballistic motor trainingを用いた。右示指先端に加速度センサを取りつけ、示指外転時の加速度の最大値を課題獲得能力の指標とした。この指標を、20分間の各強度の有酸素運動と運動学習課題を組み合わせる条件(低強度条件・中強度条件・高強度条件)と20分間の安静と運動学習課題を組み合わせる条件(安静条件)間で比較した。その結果、安静条件に比べ、全ての運動条件において右示指外転時の最大加速度の増大量が大きく、運動学習後30分程度増大が続くことが観察された。これらの結果は、有酸素運動の強度に依存せずに、運動学習を促進させことができる重要な知見である。次年度は、有酸素運動中および有酸素運動後の一次運動野興奮性変化について検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(28年度)は、有酸素運動の運動強度が運動学習に与える影響をについて検討した。その結果、有酸素運動の運動強度に依存せず、安静時と比較して運動学習を促進・保持する効果をもたらすという結果が得られた。これらの知見は、先行研究では報告されていないことから、本研究で得られた新規の知見と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究目標がほぼ順調に達成されたことから、平成29年度は、計画通り、有酸素運動中および有酸素運動後の一次運動野興奮性変化について検討を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画していた実験を、平成29年度に行うこととし、予定した物品を購入しなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究課題には、汎用性A/D変換器および筋電図計測装置が必要であり、その費用に、28年度分と合わせて使用する予定である。
|