本研究は糖尿病が運動を制御する中枢神経系に与える影響を明らかにするために、皮質内微小電気刺激法を用いて運動野の体部位再現を調べた。さらに、皮質脊髄路(CST)の機能および形態の変化を調べる目的で、脊髄の電気刺激によって運動野に誘発される逆行性活動電位の記録と脊髄に注入したトレーサーによって逆行性標識されたCST細胞の形態計測をした。その結果、運動野の後肢、体幹領域に強い萎縮を認め、腰髄を刺激した際に誘発される逆行性電位と腰髄にトレーサーを注入した際に逆行性標識されるCST細胞数が減少した。以上の結果は糖尿病によって特に後肢や体幹の運動を制御する皮質脊髄路が損傷を受けやすいことを示唆している。
|