研究課題/領域番号 |
15K16375
|
研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
渡邊 晶規 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60460549)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | LIPUS / 拘縮 / 病理組織 / ラット / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究は、実験動物を用いて関節拘縮の治療と予防に対する低出力超音波パルス治療(以下LIPUS)の効果を組織学的に検討することである。関節の強度や伸張性に大きく影響するであろう後部関節包のコラーゲン線維束間の間隙に着目し、不動化により生じた狭小化がどの程度改善するのか、あるいは予防的な介入ではどの程度間隙を維持できるのか観察することを目的とした。 平成27年度にはラット膝関節拘縮モデルを用いてLIPUSの効果を検証した。8週間後肢膝関節を不動化させた拘縮モデルに対して1日20分間のLIPUSを4週間実施し、膝関節可動域と膝関節後部関節包の組織像を観察した。その結果、LIPUSを行わなかった場合と比較して、膝関節可動域は有意な改善を認め、後部関節包その厚み及び密度(膠原線維束間の間隙の割合)ともに有意差を認め、正常な組織像に近づいていることが確認された。 これらの知見は、LIPUS が新たな拘縮治療方法に繋がる可能性を示している。関節包への効果が期待できることは、とりわけこれまで治療に難渋してきた関節構成体由来の拘縮への適応が期待できる。不動化による拘縮は不動期間の長期化に伴い、その制限の因子が筋性から関節性となることが明らかにされており、すなわち本成果は、より重度な拘縮治療の可能性を広げるものと言える。またLIPUSはその特徴から安全な治療装置であると言え、基本的には目的部位にセットしてからは治療者の手を煩わせることがない。マンパワーの追加を要しないという側面からも優れ、総じて価値ある一石を投じたものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
治療効果の検証において、想定よりも介入条件の設定に時間を要し、複数条件下での比較が出来ていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
複数条件下での比較検討は十分行えていないものの、治療効果については一定の結果を出すことができたため、当初の予定通り、本課題のもう1つの大きな柱である予防効果の検証を開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
比較的大きなウエイトを占めていた備品(超音波刺激装置)の購入を予定していた2台から1台に変更したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
翌年度購入予定の備品・用品の執行状況により、可能であれば当初の予定通り2台目を購入する。
|