研究課題/領域番号 |
15K16389
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
小池 祐士 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (10610694)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 排泄動作 / 下衣操作 / 下着 / 脳卒中 |
研究実績の概要 |
脳卒中を発症した場合,排泄動作(特にズボンや下着の操作)障害を伴うことが多くなり,排泄の介護が必要となる.排泄の介護は,介護側に身体的負担を与えるだけでなく,非介護側に身体的・精神的負担を与え,特に抵抗の大きい介護である.このことから,ズボンや下着の操作の自立は,脳卒中患者にとって重要な課題である.また,これらの動作が自立に至らない脳卒中患者の多くは,自力での立位保持が困難な場合が多い.そこで本研究では,立位保持能力の低い脳卒中患者でも座ったままで脱がずに排泄が可能な下着を開発し,その効果を検証することを目的とした. 平成27年度は,立位保持能力が低い患者でも座ったままで脱がずに排泄が可能な下着を開発し,その効果について検証を行った.開発した下着は,“既存の障害者用下着”に取り入れられている股割れ構造と重なり構造に改良を加えたデザインとした.改良点は,それぞれの両側の殿部に装着した紐を前面まで延長させ,その紐を引っ張ることで股が開口できる仕組みを加えた点である.また,健常者が履く下着の構造・大きさを参考に,かつフィット感が出るよう作製した.この開発した下着は特許出願をし,公開された(特開2016-56476). この下着の効果検証として,脳卒中片麻痺者を対象に,第1段階では股の開口部の開口割合および陰部・肛門部の露出の有無の検証を,第2段階では実際に使用した際の汚染の有無および排泄に対する満足度の検証を行った.その結果,第1段階として,片麻痺者でも十分に股の開口部を開口することができ,陰部・肛門部の露出も十分に可能であった.第2段階として,この下着の着用および操作後に排泄を行った結果,下着の汚染なく排泄が可能であった.また,日常で介助を要して排泄を行っていることに対する満足度に比べ,この下着を使用し排泄を行ったことに対する満足度の方が有意に向上した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画では,立位保持能力が低い患者でも座ったままで脱がずに排泄が可能な下着の開発および健常者を対象とした使用効果の検証を予定していた.現在までのところ,下着の開発を行い,脳卒中患者を対象とした使用効果の検証も一部開始している状況である.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,引き続き下着の使用効果について検証を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析演算装置が安価で購入できた点や統計ソフトが施設に常備されていたことにより,余剰金が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度で余剰となった資金を使用して,平成28年度の効果検証に必要な物品の購入等に使用する予定である.
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