研究課題/領域番号 |
15K16397
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 康貴 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00632176)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歩行 / トレッドミル / 転倒 |
研究実績の概要 |
本研究では,トレッドミル環境下で自由歩行を可能とする牽引式自由歩行システムを設計製作し,それを用いたベルトの速度変化による転倒刺激を提案した.具体的には,被験者がトレッドミルを歩行中に,左右のベルトに速度差を与えることで,日常の屋外での歩行における,転倒動作を再現する刺激を提示した.また,実際に提案する滑り転倒刺激を与える実験を行い,滑り時の下肢反応動作の解析を行った. 本研究では,滑り転倒動作を再現する前段階として,平地のように被験者が任意で加減速歩行ができるトレッドミルを開発した.歩行速度に追従してベルト速度が可能な制御である.具体的には,被験者の後方からワイヤで牽引し,そのワイヤの矢状面方向の移動量に応じてトレッドミルのベルト速度の制御を行った. 本研究では,踏み出した前足が接地した直後,矢状面方向に滑る転倒動作を代表的な転倒と考えた.具体的には,凍った路面など,滑りやすい状態や細かい砂利が散乱している路面に足を踏み出した場合を想定した.具体的には,滑る方向に外力が加わるような条件で滑り動作を構築した.接地の瞬間,基準のベルト速度から更に様々な加速度を矢状面方向に加える事で,滑り転倒動作の刺激の大きさを表現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画通り、屋外の歩行時の代表的な例として転倒動作を再現できるシステムの構築を行った。特に、歩行中の動作の中においても、転倒として頻繁に起こる、滑り転倒に注目し、再現を行った。また、計画通り、屋内でも自由歩行が可能なトレッドミルの製作および制御を実施した。能動制御型トレッドミルとして、操作者の意図に応じて加減速が可能なトレッドミルの制御手法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度について、これまで通り、屋外の歩行を再現するシステムの構築に取り組む。具体的には、昨年度まで取り組んだ、屋外の歩行時の転倒動作を再現するシステムを開発する。また、さらに、トレッドミル上歩行時に利用者が受ける視覚と体性感覚の整合性が一致するような3 次元の画像シミュレータを開発する。また、本研究で開発したシステムの有用性を評価するために、研究協力機関である九州大学病院において、若年者および高齢者による評価実験を行う。高齢者 での被験に耐えうる機器の安全性を確立した上で、九州大学ならびに評価実験施設の倫理規定をクリアし、九州大学病院の施設にて被験者による評価を長期的に実施し、提案手法の有用性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
トレッドミルを開発する際に歩行時の反力を計測するシステムの一部が当初の設計から変更となり、当初の計画から使用額が変更となった。
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次年度使用額の使用計画 |
計画から変更になった部分については、今年度追加で検討を行う。具体的には、歩行時の反力を計測するシステムを新たに追加することで、歩行時の特性をリアルタイムで計測可能にする。
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