研究実績の概要 |
急性期脳卒中患者におけるサルコペニアの実態を調査するために、急性期病院に入院となった脳梗塞、脳内出血患者16例に対して、入院時、入院1週間後、入院2週間後の計3回、両側の大腿四頭筋筋厚を超音波画像診断装置を用いて測定した(Nozoe M, et al.: Topics in Stroke Rehabilitation, 2016)。その結果、入院後1週毎に大腿四頭筋筋厚は麻痺側、非麻痺側ともに有意に減少し、特に入院2週間後には非麻痺側と比べて麻痺側は有意に減少していることが明らかにされた。次に、急性期脳卒中患者におけるサルコペニアが生じやすい患者の特徴を検討するために、脳梗塞及び脳内出血患者31例における入院2週間における大腿四頭筋筋厚の減少率と重症度、入院時栄養状態、炎症状態といった指標との関連性について検討した(投稿中)。その結果、入院2週間における大腿四頭筋筋厚減少率は麻痺側、非麻痺側ともに重症度との関連が深いが、入院時栄養状態は影響を与えていないことが明らかになった。さらに、入院時に炎症所見が認められる場合、麻痺側大腿四頭筋筋厚減少率には影響を与えないものの、非麻痺側大腿四頭筋筋厚減少率はより大きくなることが明らかになった。そして、これら急性期で生じる大腿四頭筋筋萎縮に対する神経筋電気刺激の効果についても検討を開始している。急性期脳卒中患者11例の大腿四頭筋に対して神経筋電気刺激を実施し、その有効性についても検討している。
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