研究実績の概要 |
昨年度の経過に引き続き、急性期脳卒中患者に対する神経筋電気刺激療法が大腿四頭筋筋厚に与える影響を検討した。 対象は発症後48時間以内へ入院となった中等症から重症脳卒中患者10例(NIHSS8点以下、及び85歳以下)を対象とした。全例,通常の早期離床を中心としたリハビリテーションに加え,大腿四頭筋に対する神経筋電気刺激(NMES)を行った.NMESは周波数50Hz、刺激時間300µsec、on/off=12秒/6秒とし、運動閾値上刺激で対象者が耐えられる最大強度とした。その結果、通常の早期離床のみを行った対照群(10例)と比較して、麻痺側・非麻痺側ともに大腿四頭筋筋厚の減少を有意に抑制することが明らかとなった(Nozoe, et al, Neurorehabilitation, in press)。また、この筋厚減少予防効果はしっかんの重症度には関連しておらず、発症から電気刺激療法開始までの日数が短いほど、高い効果を示すことも明らかとなった(第42回日本脳卒中学会総会). 昨年度の結果も含め、以下の内容が明らかとなった。 ①急性期脳卒中患者では麻痺側だけでなく非麻痺側においても大腿四頭筋筋厚減少が生じる. ②急性期脳卒中患者の大腿四頭筋筋厚の減少は疾患の重症度(NIHSS)が関連しており、重症例ほど減少しやすい.また、非麻痺側大腿四頭筋筋厚に限っては、入院時の炎症所見との関連も認められ、炎症所見がある場合は有意に大腿四頭筋筋厚は減少しやすかった. ③急性期脳卒中患者の大腿四頭筋に対する2週間の神経筋電気刺激は、大腿四頭筋筋厚減少を予防する効果がある.
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