本研究では、睡眠段階の遷移現象に焦点を当て、睡眠の動的制御機序の一端を解明することを目的とした。本研究課題では、(1) 睡眠段階遷移のダイナミクスの背後には安定かつ頑健な個人差が存在すること、(2) 睡眠時間と睡眠の連続性の間には有意な正の相関関係があり、睡眠時間の個人差を生み出す機序として睡眠の連続性や安定性といった要因が考えられること、(3) 加齢は深睡眠の連続性を低下させ、このような睡眠徐波生成機構の減弱化が空間探索記憶の成績低下と関連していること、(4) ヒトの睡眠の超日リズム生成機序の背後には睡眠段階遷移現象が深く関連していること、が明らかになった。
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