研究課題/領域番号 |
15K16417
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金沢 星慶 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員 (60744993)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 新生児 / 乳児 / 運動発達 / 脊髄運動神経 / 運動単位 |
研究実績の概要 |
ヒトの運動は新生児期から乳児期に著しく変化するが、その神経学的機構は未だ明確ではない。本研究の目的は、運動制御に関わる代表経路である大脳皮質-脊髄運動神経系に着目し、その成熟過程を非侵襲的かつ簡便に観察できる神経生理学的手法を開発・利用した上で、新生児から乳児における運動発達メカニズムを神経生理学的観点から解明することである。本年度は,特殊電極の改良および計測に着手すると同時に筋活動の推定も行い,以下の項目に関して取り組んだ. 1.新生児・乳児用の特殊電極の作成 一年次に,脊髄運動神経の発火頻度計測を目的とした多チャンネル表面筋電図を作成したが,新生児や乳児のように肌が脆弱な対象者には使用が困難であった.そこで,シリコンシートにオペアンプおよびボルテージフォロワを埋め込み,皮膚との接触部分を柔らかくした電極へと改良した.これによって新生児・乳児における多チャンネル筋活動計測が可能となっている.
2.筋骨格モデルを利用した新生児・乳児の筋張力推定 1の成果である多チャンネル筋電図を利用した筋活動計測では現実的には表層筋,かつ少数の筋しか計測し得ない.全身の筋活動について調査すべく,詳細なモーションキャプチャと新生児筋骨格モデルを併用した全身の緊張力推定を行った.約500の全身の骨格筋を対象とするため筋骨格モデルのリンク数は16とし,各リンクの運動データを取得するため,50以上のマーカー貼付と8台の赤外線カメラを使用している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初目的としていた新生児・乳児用の特殊筋電図が完成し,これまで不可能であった新生児・乳児における詳細な筋活動計測が可能となっている.また,新生児筋骨格モデルとモーションキャプチャを利用した全身筋活動推定も可能とした.
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今後の研究の推進方策 |
今後は計測を重ね,解析手法の開発と発達的変化を調査する必要がある.また,モーションキャプチャと筋骨格モデルを併用した緊張力推定には多くの計測機器が必要となるため,多数のデータ取得や追跡調査を実施するために簡易化を図る必要がある.
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