研究課題/領域番号 |
15K16419
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
昆 恵介 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (30453252)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 動的筋力計測 / 脳卒中 / 装具 / 歩行分析 |
研究実績の概要 |
脳卒中患者はつま先から着床するケースが多く,転倒の危険があることから,足関節を持ち上げる装具が重要な役割を担う.そのため足関節を持ち上げるための適切な装具の補助力(以下補助力)を患者個々に設定することが重要となる.しかしながら,歩行動作中の筋力を機器単独で評価することが出来ないため,補助力の調整を何度も余儀なくされ,患者には過大な負担となっているのが現状である. 本研究は脳卒中患者の歩行中における動的筋力測定を可能とする評価バッテリー(評価の組み合わせ)の開発と臨床評価を目的とする.本研究によって,将来的には,脳卒中患者個々に合わせた装具の設計が可能となり,患者に負担をかけないリハビリテーションを可能とするものである. 過年度までの研究において,模擬義足を用い,筋力の影響を排除した上で,三次元動作解析システムから得られる床反力モーメントと装具補助力を一致させるアルゴリズムを確立させることを目指し,実験研究を行い.成果を得た. また,歩行中の足関節筋力を測定するために,本研究で提唱する筋力測定評価バッテリーを用いて健常者の歩行中筋力データとエネルギーコストデータを収集し,基礎データとすることを検討してきた.結果として足関節背屈方向は完全遊動(フリー)の制御が有効とされてきた,先行研究とは違い,背屈方向の特に立脚終期(踵が浮き始めてから)以降の反発力が重要であることを示唆していることを明らかにした. 平成29年度では,これまでの経緯を踏まえ,立脚終期以降に必要な装具の制動力に着目し,健常者および脳卒中患者を対象に,筋力測定評価バッテリーを用いて,臨床的に有効であるか,エネルギーコストの観点から評価を実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初の予定では,足関節に関係する力の検出だけで良いと仮説を立てていたが,実際に計測をしてみると,足指(MP関節)による最後の蹴りだしする力が重要であることが分かってきたため,当初の計画との研究の方向性に若干の違いが生じてきたが,概ね研究全体の方向性としての脳卒中片麻痺者のための適切な装具設計という点に違いはないため,良い意味で順調に研究が進んでいると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では,これまでの経緯を踏まえ,立脚終期以降に必要な装具の制動力に着目し,健常者および脳卒中患者を対象に,筋力測定評価バッテリーを用いて,臨床的に有効であるか,エネルギーコストの観点から評価を実施していく予定であるが,当初計画では足関節の力制御だけに着目していたところに加えて,足指(MP関節)の力制御も片麻痺者には必要であることがわかったため,健常者による追加実験も必要である.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析に必要な光速度処理可能なPCを購入する必要が生じたため
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次年度使用額の使用計画 |
実施計画が少し前倒しになったことから生じたもので全体の計画に支障はない
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