研究実績の概要 |
スポーツマウスガードの装着は,口腔内の損傷を予防するだけでなく身体バランス感覚を向上させる効果があるが,その作用機序は明らかではない.また,顎口腔領域の受傷経験者に対するマウスガードの装着は心理的ストレスを軽減している可能性がある.本研究では,アマチュアスポーツ選手を被験者とし,スポーツマウスガード装着時と非装着時の頭皮上脳電位解析,バランス感覚の評価,握力測定, アンケート調査を行い,「スポーツマウスガード装着による頭皮上脳電位の解析」,「スポーツマウスガード装着によりバランス感覚など全身への影響の作用機序の推察」, 「スポーツマウスガード使用による心理的効果の違い」の解明を目的とした. 被験者は,鶴見大学硬式野球部所属の者とし,本学歯学部倫理審査委員会の承認のもとに,充分な説明と同意を得た上で遂行した(No. 1415).スポーツマウスガード装着の際に,装着時および非装着時における咬合接触状態,頭皮上脳電位解析から心理状態を時系列で定量化できる感性スペクトル解析, 多目的重心動揺測定システムを用いて評価した.また,スポーツマウスガード装着および非装着時の握力測定を行った. スポーツマウスガード装着により咬合接触面積は有意に増加し,咬合接触バランスも向上したことから,安定した咬合接触の獲得に有用であることが示唆された.また,スポーツマウスガードの装着は競技者のストレス増加,パフォーマンスへの悪影響を与えることなく,スポーツ外傷の予防・軽減に寄与できることが明らかとなった.
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