研究課題/領域番号 |
15K16426
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鬼澤 陽子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (80511732)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 戦術的知識 / 状況判断 / 理解度 / 評価 / 体育授業 / バスケットボール |
研究実績の概要 |
戦術的知識テストの作成にあたり、平成27年度(研究1年目)は予備テストを作成した。そして、平成28年度(研究2年目)は、予備的なテスト問題の作成を通して明らかになった問題点を改善するために、体育科教育の専門家、およびバスケットボールの専門家のヒヤリング調査を行い、ディスカッションを重ねながら、テストの検討・修正を図った。具体的には、プレーの選択肢として、シュート、パス、ボールキープに「ドリブル」を加えることによって、フルゲームでのパフォーマンスの向上につながる理解度テストとするために、問題となるゲーム条件とそれに応じたプレー、問題の提示方法、回答方法等を検討し、修正を重ねた。また、子どもたちが理解しやすいようにテストの進め方についても検討し、戦術的知識テストを完成させた。 次年度(研究3年目)は、授業研究として小学校高学年を対象に10時間のバスケットボール単元を実施することから、学習内容を設定し、学習内容を習得するためのゲーム教材:ドリルゲーム(主として個人的技能の習得や習熟を目的としたゲーム)・タスクゲーム(個人及び集団の技術的、戦術的能力の育成を目的とした課題の明確なミニゲーム)・メインゲーム(児童のレベルに合ったボール運動のゲーム)を設定し、単元構想を行った。また、その単元の学習成果を図る尺度として、今年度に作成した戦術的知識テストを適用する(認知レベル)とともに、ゲーム中のパフォーマンス(パフォーマンスレベル)を分析する。学校での体育授業を撮影することになることから、研究協力校に対して研究の目的・手続き・倫理的な配慮事項を説明し、了承を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦術的知識テストの開発に向けて、当初の予定では、平成27年度(研究1年目)はテスト作成に向けた情報収集を行うとともに、予備的なテスト問題を作成することであり、平成28年度(研究2年目)は、これを受けて①専門家によるヒヤリング調査・ディスカッションを重ねながら戦術的知識テストを完成させることと、②次年度の授業研究に向けた準備を進めることであった。 なかでも、平成28年度は専門家によるヒヤリング調査の1つとして6th International Teaching Games for Understanding Conference(TGfU国際学会)への参加を予定していたものの、テロの影響で参加することはできなかった。この他、全体を通してみると、概ね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度(研究3年目)は、小学校高学年の10時間のバスケットボール単元での重要な学習内容としてのドリブルを含めたプレー原則(ボール保持者の状況判断)に着目し、認知・パフォーマンス面からの状況判断力の向上について実証的に検討することを予定している。 学習成果を測る尺度として、単元前後に2つの理解度テスト:①本研究で作成する「戦術的知識テスト」ならびに②平成20~21年度科学研究費補助金で作成した「映像による状況判断テスト」を適用し、学習者の認知レベルの状況判断力を測定する。また、パフォーマンスレベルについては、単元中に実施されたハーフコート3対2のメインゲームをデジタルビデオカメラで撮影し、その映像をもとにボール保持者の状況判断の適切さについて,GPAI(Game Performance Assessment Instrument; Griffin et al., 1997)の方法論に基づいて分析を行う。ボール保持者の状況判断については,プレーヤーがボールをキャッチした時を「ボール保持者の状況判断場面」とし,ボール保持者のプレーの適切さについて,観察基準に基づき評価することで、パフォーマンスレベルの状況判断力の変容を検討する。 これらによって、認知・パフォーマンス面からの状況判断力の向上について総合的に評価する。そして、研究成果を口頭もしくは紙面上にて発表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初は、資料収集および体育科教育の専門家のヒヤリング調査のために、2016年7月25-27日にドイツで開かれた6th International International Teaching Games for Understanding Conference(TGfU国際学会)に参加する予定であったが、この直前にドイツ(会場近く)での大きなテロがあり、その影響で参加することを断念した。そのため、次年度使用額の変更が生じたが、研究内容が変更になるものではないため、研究の目的は達成できると考えられる。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の使用額の変更が生じたが、研究内容が変更になるものではないため、研究の目的は達成できると考えられる。
|