小学校高学年のバスケットボール単元(10時間)における重要な学習内容として、ドリブルを含めた状況判断を取り上げ、認知面及びパフォーマンス面から状況判断力の向上を実証的に検討することを目的とした。学習者の認知レベルの状況判断力を測定する尺度として、①本研究で作成した「戦術的知識テスト」と②平成20~21年度科学研究費補助金で作成した「映像による状況判断テスト」を取り上げ、単元前後に実施した。また、パフォーマンスレベルでの状況判断力は、単元序盤(2-3時間目)と単元終盤(9-10時間目)のメインゲームをパフォーマンステストに位置づけ、ゲームパフォーマンス評価法(GPAI)を用いて分析した。 対象は、2017年11月14日から12月18日にかけて、群馬県S市立T小学校6年A組24名(男子14名、女子10名)であった。1授業時間においては、準備運動の後にドリルゲームを行い(シュート、パス、ドリブル、ピボット)、次に教師による学習内容の確認を行うようにした。その後の主運動場面は、「アウトナンバーゲーム」を取り入れ、2対1(単元後半は3対2)のタスクゲームと3対2のメインゲームで構成した。 その結果、認定面をみると、①「戦術的知識テスト」及び②「状況判断テスト」の得点は、いずれも単元前に比べて単元後に有意な向上が認められた。また、パフォーマンス面についても、③単元序盤に比べて終盤に有意な向上が認められた。 これらにより、小学校高学年バスケットボール授業において、ドリブルを含めた状況判断を学習内容として位置づけた体育授業を展開することによって、「わかる(認知レベル)」と「できる(パフォーマンスレベル)」の状況判断力が向上することが明らかになった。
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